陸上女子短距離の佐藤志保里(北海道・遺愛女1年)は、地元の道南に残って新たな春を迎える。7日の入学式に向け江差町の親元を離れ、5日から函館市内で下宿生活を始めた。「生活面は少し変わるので、慣れるまで不安な面もあるけど楽しみ」。新生活への期待感で、15歳の瞳を輝かせた。

江差中3年の昨年、全国中学で100メートル、200メートルともに準優勝し、200メートルの道中学記録(24秒31)を持つ。全国で活躍した中学生は地元を離れ強豪校に進むことが多い。佐藤は残る道を選んだ。高校の部活とともに小学校時代から通う函館市内の陸上クラブNASS高松勇輝代表(40)の指導を引き続き受ける。昨春に左膝の内側半月板を痛めた際、同代表と主治医から手術ではなくゆっくり治す保存療法を提案された。「自分の考え方と同じで安心感があった」と、次のステージも慣れ親しんだ練習環境で進むことにした。

考える陸上を継続する。練習メニューを個人や選手同士で話し合って決めるなど、高松代表の自主性を重んじる指導法で成長してきた。「自分にそれが合っていた」と佐藤。中学では当初、膝から下を柔らかく使えなかったが、改善してその後の記録更新につながった。理詰めの指導ではなく、自身でベストな走り方を考えた末の結果だった。

まずは順位よりもタイムを求めていく。昨夏の全国中学100メートル決勝では高松代表と初めて「勝ちに行こう」と臨んだ。結果は力が入りすぎて準決勝よりも遅い12秒19で2位だった。高校ではパワーをつけてよりダイナミックな走りを目指す。「大事なのはまずタイム。総体は最後に優勝したいと思う」と力を込めた。

◆佐藤志保里(さとう・しほり)2005年(平成17)1月4日、江別市生まれ。父の転勤で、せたな町、厚沢部町、江差町と移り住む。小学1年で厚沢部ACで競技を始め、江差小5年から現在の陸上クラブ「NASS」に所属。全国中学では2年時に200メートル2位、3年時に100メートルと200メートルで2位。趣味はテレビドラマを見ることで、今好きな作品は「テセウスの船」。好きな俳優は有村架純と岡田健史。家族は両親、妹、弟。162センチ、50キロ。血液型O。