ボルト語る第2の人生「俳優になりアクション映画」

会見に登場し、おどけるボルト(撮影・河野匠)

 【ロンドン1日=上田悠太】最後まで世界最速のまま、伝説となる。4日(日本時間5日未明)に開幕する陸上の世界選手権を最後に引退を表明しているウサイン・ボルト(30=ジャマイカ)が会見に出席。今季は本調子ではなく、優勝の本命ではないとの指摘を自信満々に一蹴した。引退後の挑戦については、サッカー選手だけでなく、俳優への転身も視野に入れていることを明かした。

 現役のうちは誰も前を走らせない。100メートル9秒58の世界記録を持つボルトも今季は9秒95が最高。会見では優勝の本命でないと指摘された。しかし、約320人の報道陣の前で自信満々に笑い飛ばした。

 ボルト それはお前らが言ってるだけだろう? 俺は準備ができている。そんなこと思ったことない。準備はできている。自信は100%だ。俺は最後まで、無敵で、誰にも止められない存在で終わる。

 そして新聞の1面を空けておくように注文した。

 今大会は100メートルと400メートルリレーに出場。ともに頂点に立てば、自身の持つ最多世界選手権金メダル数を13に伸ばす。2位のカール・ルイス(米国)に5個差をつける。一気に越えられない壁となる。五輪と合わせれば、これまで20個のメダルを獲得している、超負けず嫌いの男は「世界記録は生きている間に破られたくないか」とも聞かれ、きっぱり言った。「俺の子どもが15歳、20歳になって『俺が一番速い』って言ってやりたい。生きているうちは抜かれたくないね」。

 今大会で引退するが、セカンドキャリアの野望も尽きない。複数の海外メディアによると、ドイツの強豪ドルトムントを始め複数のサッカークラブから練習参加の誘いが届いているという。「それは間違いなく、検討するな」と転身に前向き。それだけではない。「俳優になって、アクション映画に出ているかもしれないな」。

 最後は新スパイク色である金と紫の無数のテープが垂れる中、お決まりのボルトポーズを決めた。スーパースターらしく、華やかに会見場を後にした。

 ◆ウサイン・ボルト 1986年8月21日、ジャマイカ・トレロニー生まれ。09年世界選手権の100メートルで9秒58、200メートルで19秒19の世界記録を樹立。12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で100メートル、200メートル、400メートルリレーの3種目を制覇。196センチ、95キロ。