＜陸上：世界選手権＞◇６日◇ロンドン◇男子マラソン

　アテネ五輪女子マラソン金メダリスト野口みずきさん（３９）と、１０度のマラソン優勝を誇る瀬古利彦氏（６１）の２人のレジェンドが、男女とも不調だったマラソン界へ提言した。女子は２時間３０分３６秒だった清田真央（２３＝スズキ浜松ＡＣ）の１６位が最高。９５年イエーテボリ大会以来１１大会ぶりに入賞を逃した。男子は２時間１２分１９秒の川内優輝（３０＝埼玉県庁）の９位で、２大会連続で入賞に届かなかった。

＜瀬古利彦の目＞

　川内は中盤で遅れた時は心配したんだけど、ここまで上がってくるとは思わなかった。７月に練習を見に行った時、１０００メートルを１０本。最後の方は、バテて、最後は吐いちゃっててさ。大丈夫かなと思ったけど、やっぱり練習をいっぱいしてきて、本番は調子が良かったよ。でも上位２人がベテランなのは寂しいね。

　何で巻き返せるかっていったら、顔はきつくても、足の残し方を知っているんだよ。それは７０回もマラソンレースに出ていたから、体が覚えているのだと思う。

　泥くさい練習をしたら、本番で粘れる。川内君より、スピードのある若手も見習って欲しい。２５歳までに、それが分からないと。今の選手は髪の毛を決めたり、何でもかっこよくしようとする。そんなのマラソンをやめた後もできる。１つのことを求めようとすると犠牲にすることもいっぱいあるじゃん。マラソンだけ極めた方がかっこいいよ。（横浜ＤｅＮＡランニングクラブ総監督）

　◆男子マラソンＶＴＲ　中本が中盤まで縦長の第２集団につける。川内と井上は遅れる。その後、２５キロ時点で２０位の川内が巻き返す。４０キロ付近で中本を抜いた川内は猛烈なスパートをするも入賞に３秒及ばず。

　◆川内のコメント　８位に入れなかったが、ようやく力が出せた。代表は責任が重い。（前半で転倒して）吹っ切れた部分もある。

　◆中本のコメント　入賞が最低ラインと思っていたので悔しい。今後どういう形で競技を続けるか、分からないが、日本に帰り考えたい。

　◆井上のコメント　何とか足を動かそうとしたが、動かせなかった。２度と忘れない。今後、世界と戦っていく上で糧としていくレース。