東大・近藤、箱根駅伝1区濃厚 青学大・下田を意識

黙々と調整に励む東大の近藤

 第94回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が、来年1月2、3日に開催される。エントリーされた静岡県勢21人で、最も注目されているのが韮山出の東大・近藤秀一(3年)だ。関東学生連合で1区起用が確実。中学時代に知り合い、4連覇を目指す青学大の下田裕太(4年、加藤学園出)を強く意識しながら力走を誓った。今日29日、区間エントリーが発表される。

      ◇       ◇

 東大生として箱根を走れば、2005年大会の松井翔以来13年ぶり。全国的にも話題の近藤だが、冷静に今の心境を語った。

 「1度は割り切って諦めたものなので、チャンスをもらえたという感じです。地に足がついた状態で臨めると思います」

 1、2年時に関東学生連合に補欠登録された。前回まで連合チームの出場規定は「本戦登録が1回までの選手」で、2度登録の近藤は資格を失っていた。だが、今夏に「本戦出場経験がない選手」とルール改正。思いがけず、チャンスが巡ってきた。

 そして、10月14日の箱根駅伝予選会(20キロ)を59分54秒で走り、11月25日の1万メートル記録挑戦競技会でも、29分13秒71で好走。合計タイム上位10人を出場メンバーとする選考基準をトップで満たした。「東大で箱根を走るのが憧れ」と言い、浪人中も練習を重ねながら東大合格。念願をかなえて意識するのが、加藤学園出で青学大の下田だ。「高校時代から勝負してきて、彼の陸上に対する熱意を見てました。その選手が今や世代を代表する存在になったことは、自分にとって希望を与えてくれました」。

 近藤は下田に刺激を受けるべく、11月、青学大の合宿に参加した。高3以来約4年ぶりに一緒に走り、「懐かしくて時間が短く感じられました。やっぱり陸上という1つ大きいところでつながっているんだなと思いました」。互いの呼吸、足音を感じながら、陸上への思いを確かめ合ったという。

 出走区間は1区が濃厚。起用区間未定の下田と直接対決があるかは微妙だが、「来年2月の東京マラソンでも一緒になると思います。彼とはライバルですが、打ち負かしてやろうというより、高め合っていこうという関係性です」と明かした。その上で「大事なのは自分の100%を出すこと。箱根の特別な雰囲気や周りの強い選手、沿道の声援、そのすべてを自分のエンジンにしていきたいです」と言った。現規定が変わらなければ、3年にして最初で最後の箱根駅伝。とにかく悔いのない走りを目指す。【鈴木正章】