箱根手袋にロゴ、校名同載ダメ!青学大原監督怒った

学校名とロゴが入った手袋(16年1月3日撮影)

 第94回東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)で4連覇を狙う青学大の原晋監督(50)が29日、「箱根駅伝文化」の存続を求めて、ほえた。箱根駅伝を運営する関東学生陸上競技連盟は、今大会から日本陸連の「競技会における広告および展示物に関する規程」にのっとり、手袋とハチマキに学校名、ロゴを入れることを制限。原監督は決定を受け入れつつも、学校愛や競技の魅力を表す象徴を廃することに対し、「時代の流れに逆行している。駅伝界にとって不幸な出来事」と訴えた。

 29日、午後4時。区間エントリーが発表されると同時に原監督は真っ先に「おかしくないですか」と怒りをぶちまけた。矛先は、今大会から決まった手袋、ハチマキの学校名やロゴの制限について。「駅伝は母校の絆をもって、動いている。それを、ハチマキにロゴを付けたらいけない。手袋にロゴを付けたらいけないというのは、時代の流れに逆行している。非常に陸上界、駅伝界にとって不幸な出来事。腹が立ってしょうがない」と話した。

 日本陸連の規定は、競技の際に宣伝物を身につけることを制限している。関東学連は前回大会まで、この規定を厳密には適用していなかったが、日本陸連の方針に基づき、10日の監督会議で各校に順守するよう告知した。その場で意見した原監督は、説明されて決定を受け入れていた。この日の原発言を受け、関東学連関係者は「いったん理解してもらったのに、なぜ今日、反対の発言をしたのかが理解できない」と困惑した。

 原監督が怒りをあらわにしたのは、ここまで自分以外誰も反対しない状況にも一因がある。今回の通達はユニホームや襷(たすき)以外の着用物のみ。手袋に2つ以上のロゴを入れられないため、青学大では学校名を省き、規定通りに小さくしたメーカーのロゴのみとした。早大、神奈川大、東海大なども同様の措置を取るという。わずかな変更だが「そのうち、W(早大のロゴ)とか、N(日大)とか、でっかいのがなくなりますよ」と他校にも言及。「世界記録、日本記録が出る大会であれば分かりますが、箱根駅伝は加盟校の組織で運営されている。独自の文化を作ればいい」と訴えた。

 箱根駅伝は、関東の地方大会。それでも、日本陸連のルールに従う理由を関東学連の中島剛競技審判委員会委員長は「規定では、テレビ中継やインターネットで不特定多数に公衆送信される競技会に適用するよう記されている。箱根駅伝は露出が多く、それに当たる」と説明した。

 そもそも宣伝を控えるという「考え方がおかしい」とも原監督は話す。陸上界を盛り上げることで、競技人口が増え、競技力も向上するというのが持論。「格好いいハチマキや手袋を見て、駅伝を志すジュニア層が増える。流れをくんでほしい」。4日後に迫るレースだけでなく、箱根駅伝と陸上界の未来に向け、ヒートアップした。【高場泉穂】