青学大・原監督「采配ミス4区を甘く見すぎていた」

優勝を逃し、応援者に深々と一礼する青学大の原監督(撮影・狩俣裕三)

<第95回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・6キロ)

奇跡は起こらずも意地を示した。往路でトップ東洋大から5分30秒差の6位だった青学大は、10時間55分50秒で総合2位だった。史上初となる2度目の3冠&史上3校目の5連覇は逃したが、5時間23分49秒で復路優勝。6区小野田勇次(4年)が区間新記録を出すなど復路5人全員が区間2位以上の強さだった。東洋大を最終10区で抜き去ったが、優勝した東海大に3分41秒及ばなかった。

ついに連覇は途絶えた。冷たいビル風が吹き荒れる大手町。原監督は「私の采配ミス。4区を甘く見すぎていた。チーム全体を見る厳しさを持つ必要がある」と責任を背負った。平成以降、往路の5分30秒差以上を復路で逆転した例はなかった。4区岩見、5区竹石の誤算を最後まで取り返せなかった。

負けたが、王者の強さを見せたことも事実だった。5時間23分49秒は復路新記録。往路終了後、原監督は「平成の伝説を作ろう」と各選手に伝えた。それに選手も呼応。6区では山下りのスペシャリスト小野田がオーバーペースで進み、足は限界の中で前を追った。17年秋山清仁(日体大)の区間記録を4秒更新。たすきを受けた林も「岩見と竹石に笑って、終わって欲しかった」と、前回自身が樹立した区間記録へ2秒と迫る1時間2分18秒を出した。その後も8区飯田が区間2位、9区吉田圭が区間賞、アンカー鈴木が区間2位の好走で東洋大を抜いた。

この負けは原監督の価値観も変えていた。練習法は確立され、成果を上げ続ける今のシステムに「正しい育成方法」と絶対の自信を持っていた。早大大学院にも通い、過去のデータも整理。現チームを就任15年目で「集大成」と完成型のよう位置付けていた。しかし、レース後は違った。

原監督 進化を止めた時点で退化となる。基本的なメソッドはあるべきだが、立ち止まった時点でチームは後退するんだとあらためて感じた。指導者は年を取るとしつこさがなくなってくる。同じことでなく、進化させていかないといけない。

実績を残し、追われる立場。優勝した「前チーム」と同等の実力を付けても、打倒青学に燃えるライバル校はもっと成長してくる。総合タイムは昨年を1分49秒上回るも連覇は「4」で終わった。5区間で区間記録が更新されるなど好記録ラッシュの今大会は、その象徴だった。この負けをさらに強くする糧とする。【上田悠太】