大迫傑の東京マラソン、MGC優勝への試走

東京マラソン2019の目標タイムを「??:??:??」とボードに書いた大迫(撮影・河田真司)

仮想MGCの舞台とする。男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(27=ナイキ)が1日、都内で行われた東京マラソン(3日号砲)の会見に出席。目標タイムを書くボードには「?」と記し、記録は気にせず、勝負に徹する姿勢を示した。メディアの注目、同じ東京を舞台としたコースも含め、20年東京オリンピック(五輪)代表選考会「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」(9月15日)への経験値を積み上げる。

勝負第一の信念はぶれなかった。2時間5分50秒の日本記録を塗り替えた昨年10月のシカゴ以来となるマラソン。目標タイムをボードに書き込むコーナーで、大迫がどんなタイムを狙うのか-。東京は高速コースだけに、期待感が会見場を包み、視線が集中した。司会の早野レースディレクターは「白紙でもいいですよ」と言ったが、大迫はボードを見つめ、サインペンを走らせた。その後、披露したボードには「??‥??‥??」。車いす、女子選手も含め、会見に登壇した20人中で1人だけ、目標タイムを設定しなかった。

4度目のマラソンに「今までタイムを気にして走ってこなかった。もちろんタイムがいいに越したことはないですが、気象条件やペースに左右される。そこにこだわりすぎると力んでしまう」と説明した。先頭集団のペースメーカー(PM)は2時間4分30秒~2時間5分10秒を目指す1キロ2分57秒~2分58秒ペースに設定予定。自己記録2時間4分台の海外勢向けのPMに付いていくかは未定とした上で、「勝負と言っているぐらいなので、相手次第ですが、優勝できればいい。仮にそうでなくても次につながる」と強調した。

東京マラソンでは、東京五輪の代表2枠が決まるMGCで勝つためのイメージを膨らませる。コースも靖国通り、神保町、日本橋、浅草、増上寺など20キロ以上が重なる。「MGCのコースとまったく同じではないが、東京を走る。同じような雰囲気、緊張感を味わえるのではないか」。レース当日の報道陣の申請数は、昨年から300人増の約750人という。高い注目度の中のレースも仮想MGCとなる。「メディアも含めて、トータルのところで経験できれば」と話した。

「トレーニングに関しては言えないが、やれることはやってきた」と過程は多くを語らない。舞い上がることも、重圧を感じる様子もない。MGC、その先にある東京五輪で活躍するために必要な経験を蓄積していく。【上田悠太】

◆マラソン東京五輪への道 MGCで五輪代表3人のうち優勝者ら2人が内定する。残り1人は指定の3大会で派遣設定記録を破った選手。いない場合はMGCの次点選手となる。今後、MGC出場には東京(3月3日)か、びわ湖毎日(同10日)で、ともにMGC有資格者を除く日本人3位以内の2時間11分0秒以内、同6位以内の2時間10分0秒以内を満たす必要がある。また記録が公認される大会で指定のタイムを突破するワイルドカードでもMGC出場権を得られる。