野沢啓佑「楽しく」リオ五輪後けが打ち勝ち復活気配

リオデジャネイロ五輪男子400メートル障害準決勝1組 49秒20で同組6位で準決勝敗退となる野沢啓佑(左手前)(2016年8月16日撮影)

<セイコー・ゴールデングランプリ大阪(GGP) 野沢啓佑/連載(1)>

IAAF(国際陸上競技連盟)ワールドチャレンジ第3戦「セイコー・ゴールデングランプリ大阪」(日刊スポーツ新聞社共催)が19日、ヤンマースタジアム長居で開催される。

ニッカンスポーツ・コムでは今回から世界から集結するトップアスリートに挑む日本の5選手を紹介。第1回は男子400メートル障害に出場する野沢啓佑(27=ミズノ)。16年リオデジャネイロ五輪(オリンピック)では、日本勢3大会ぶりとなる同種目準決勝進出も、過去2年は両足とも足底筋膜炎に悩まされ、ろくに走れなかった。故障に打ち勝ち、復活しようとしている。

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治っては痛くなる、苦闘の連鎖が続いた2年間を経た。暗闇を抜け、野沢は輝きを取り戻しつつある。今季はシンガポールオープン49秒59、静岡国際49秒84、木南道孝記念49秒52と3連勝。ハードル間の歩数は7台目まで14歩、8台目からの3台目は15歩。リオデジャネイロ五輪時は4台目まで13歩、5から8台目まは14歩、9、10台目は15歩で跳んでいた。それだけに、本来の力とはまだ言えないが、復活の気配が漂う。

野沢は「こうやって走れてきたのも久々。着実に自分の状態がよくなっている実感もある。東京五輪の参加標準記録(48秒90)を切れる段階にはいけていないが、そこを目指さないと勝負できない。意識は高く持ちつつ、口だけにならないように。自分にプレッシャーをかけるわけではないですけど、そういうのに打ち勝っていかないと」と話す。

リオデジャネイロ五輪男子400メートル障害予選は日本歴代6位となる48秒62を出した。自己記録を0秒05縮め、1着で日本勢3大会ぶりとなる準決勝に進出した。準決勝も前半から飛ばし、9台目まで2番手をキープ。最後は力尽き、49秒20の6着で、日本勢同種目初の決勝進出こそ逃したが、たしかな爪痕を残した。

ただ、そこからが2年間のけがとの闘いだった。リオが終わると、左の足底筋膜炎を発症。「足が付くのも痛いくらい」。治りかけたが、今度は右も足底筋膜炎に。「走るのも痛いのも我慢して走り、力んでしまった」。体のバランスも崩し、痛めた箇所の負担は増した。再度、両足とも足底筋膜炎になった。昨年の日本選手権は1台目の障害を越えられず、棄権した。再起を心に刻み、必死のリハビリを経て、戻ってきた。

セイコーGGPでは優勝と、今秋の世界選手権(ドーハ)の参加標準記録(49秒30)の突破を狙う。「自分の中で気負わず、楽しくレースをしたい。やっぱり勝ちにはこだわりたい。その中でタイムが出せたら」。走れる喜びだけでなく、勝負の欲も出てきた。もう、これからは走れなかった鬱憤(うっぷん)を晴らし続けていく。【上田悠太】

◆日時 5月19日(日)午前8時30分開場、同9時サブイベント開始、同10時15分競技開始

◆会場 ヤンマースタジアム長居

◆入場料(当日券)

S席(指定席)=4500円。A席(ブロック指定)=一般3500円、小中高校生2500。B席(ブロック指定)=一般2000円、小中高校生1500円。小学生未満無料。

◆大会HP http://goldengrandprix-japan.com