日本人の母持つ米ノーマン注目/ダイヤモンドL展望

米国のマイケル・ノーマン(2019年5月17日撮影)

<ダイヤモンドリーグ第3戦・ストックホルム大会展望>

陸上のダイヤモンドリーグ第3戦のバウハウスガランが30日、スウェーデンの首都ストックホルムで行われる。女子走り高跳びのマリヤ・ラシツケネ(26=個人資格)ら昨年のダイヤモンドリーグ・チャンピオンが7人、男子400メートルのマイケル・ノーマン(21=米国)らワールドリーダー(今季世界最高を出している選手)も7人がエントリーしている。日本からは男子棒高跳びに山本聖途(27=トヨタ自動車)が出場する。

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日本人の母親を持つノーマンに注目したい。

19日のゴールデングランプリ(大阪・長居開催)200メートルでは19秒84の自己新、今季世界3位の好記録で圧勝した。ストックホルムで走る400メートルでも、4月に米国国内で43秒45の自己新をマークしている。世界歴代4位タイのハイレベルのタイムで、現時点では400メートルの方が金メダルに近い。

今季の成績と走りの手応え次第では東京五輪で2種目挑戦の可能性もあるが、ノーマンは「今年の世界陸上(ドーハ。9月開幕)では400メートルに絞って出場しようと思っています。まだプロに転向したばかりですし、1種目に集中した方が良い」と大阪でコメントした。

昨シーズンも200メートルではダイヤモンドリーグに参戦しているが、400メートルは国内大会に絞って出場していた。世界トップレベルの43秒台も、昨年6月の全米学生と今年4月の2レースだけだ。

ダイヤモンドリーグでの初400メートルが、世界陸上ドーハを占うレースになる。

 

男子1500メートルに役者がそろった。

一昨年の世界陸上金メダルのエリジャ・モトネイ・マナンゴイ(26=ケニア)と銀メダルのティモシー・チェルイヨット(23=ケニア)、銅メダルのフィリプ・インゲブリクツェン(26=ノルウェー)がエントリーした。マナンゴイは今年のワールドリーダー(3分32秒21)で、チェルイヨットは昨年のダイヤモンドリーグ・チャンピオンである。

そしてフィリプは兄のヘンリク(28)、弟のヤコブ(18)と3兄弟でそろって出場する。自己記録では3分30秒01のノルウェー記録を持つフィリプが一番だが、弟のヤコブは昨年のヨーロッパ選手権優勝と勝負強く、記録も3分31秒18(ヨーロッパU20記録)とフィリプを追い上げている。

前回世界陸上メダリスト3人の争いに、インゲブリクツェン3兄弟の争いも加わり目が離せないレースになる。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、2016年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。2017年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ(年間)優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計の上位選手がファイナル大会に進出(種目によって異なり7人または8人、または12人)。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、今年9月開幕の世界陸上への出場権が与えられる。ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。