初Vのやり投げ北口榛花、前大会は自らファウル選ぶ

女子やり投げ決勝の4本目で、自身が直前に出した大会新記録を更新した北口(撮影・鈴木みどり)

女子やり投げで日本記録を持つ北口榛花(はるか、21=日大)が63メートル68の大会新記録を樹立し、初優勝した。自身初の世界選手権(9月開幕、ドーハ)代表に内定。1投目から62メートル68で前日本記録保持者の海老原有希が持つ大会記録(62メートル36)を更新し、4投目で再び塗り替えた。5月にマークした日本新記録以降の注目を「自分の生存確認になる」と笑う令和のヒロインは、11年世界選手権の海老原以来、同種目日本勢4大会ぶりの決勝進出を狙う。

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悪夢と別れ、北口が1投目で世界と戦う自信を得た。わずか3日前に「遊び感覚」で投げ始めた新しいやり。方向がずれると飛ばない感覚がある従来より硬い相棒を「真っすぐ(飛ばす)」と心がけ、右腕を振り抜いた。大会記録を示す黄色いラインを超える62メートル68。4投目には63メートル68と記録を更新し「勝ちたいと決めて頑張ってきた試合で、勝ててうれしい」と笑った。

前回大会は12位。1投目は53~54メートルほど飛んだが「60メートルしか目に見えていなかったので、そんな記録じゃ嫌だった」。自ら投てき後に前のラインを越え、ファウルを選んだ。だが、2~3投目がともに49メートル台と伸びず、上位8人の4投目にすら進めなかった。今回内定した世界選手権も予選はわずか3投。17年大会では決勝に進んだ12人目が62メートル29だった。3投で結果を出す重みを実感するからこそ「(1投目の)62メートルで世界選手権でも決勝に残れる。自分の中で価値がある。そこに自分が立っていても、違和感がない状態」と柔和な表情を少し引き締めた。

5月の日本新記録樹立後、注目度は急上昇。慣れない環境に「少し恥ずかしい」と本音を漏らすが「自分が出ることで、やり投げをいろいろな方々に知ってもらえますし(故郷の)北海道の先生、家族、友達への自分の生存確認にもなる」と真剣な顔つきで言う。

取材エリアでは開口一番「(マイクが)めっちゃ低い…」と179センチの体を前傾させ「今まで注目されるのはスーパーで歩いている時ぐらい。身長が高くジロジロ見られるので、あんまり見ないでほしかった」とおおらかな性格は不変だ。

世界選手権は3カ月後に迫る。最後は曇天の空を物ともしない明るい声で「決勝に進出して、8人に残るのが目標」と同種目日本人初の入賞を掲げた。【松本航】