ノーマンら豪華メンバーが登場/ダイヤモンドL展望

米国のマイケル・ノーマン(2019年5月17日撮影)

<陸上:ダイヤモンドリーグ第7戦・プレフォンテーン・クラシック>◇30日◇米国・ユージーン

ダイヤモンドリーグ唯一のアメリカ大陸開催となる大会で、今季1番の豪華メンバーとなった。男子400メートルのマイケル・ノーマン(21=米国)や女子走り高跳びのマリヤ・ラシツケネ(26=ANA)ら今季世界最高記録を持つ選手が10人、昨年のダイヤモンドリーグ・チャンピオンが15人も出場する。

また、女子800メートルにはキャスター・セメンヤ(28=南アフリカ)がエントリー。国際陸連からは男性ホルモンのテストステロン値が高い女子選手の出場資格を制限する新規定が打ち出されているが、ダイヤモンドリーグへの出場は最終的には各大会主催者が判断する。スイスの連邦最高裁の現時点での出場は容認されるべきという判断なども参考に、ユージーン大会はセメンヤの出場を認めた。

 ◇   ◇   ◇

母親が日本人のノーマンがダイヤモンドリーグの400メートルに初出場する。6月6日のローマ大会は200メートルに19秒70の今季世界最高で優勝した。5月のゴールデングランプリで来日しやはり200メートルで優勝したが、世界陸上を狙うのは43秒45の世界歴代4位を4月にマークした400メートルだと明言した。

4月の43秒45は記録会的な雰囲気の試合だったが、ダイヤモンドリーグはライバルも多い。昨年のダイヤモンドリーグ・チャンピオンで43秒70が自己記録のフレッド・カーリー(24=米国)、13年世界陸上金メダルのラショーン・メリット(33=米国)、16年リオ五輪4位入賞のマチェル・セデニオ(23=トリニダード・トバゴ)、17年世界陸上4位のバボロキ・テベ(22=ボツワナ)ら。

だが200メートルの自己記録はノーマンがナンバーワン。初めての強敵そろいの400メートルで、そのスピードをどう生かすかが注目される。

女子200メートルには今季ダイヤモンドリーグ・ポイントで現在1位のディーナ・アッシャー・スミス(25=英国)が出場。昨年のヨーロッパ選手権100メートル・200メートルの2冠選手だ。

アッシャー・スミスを優勝候補筆頭といえないのは、リオ五輪金メダルのエレイン・トンプソン(25=ジャマイカ)が復調してきたからだ。昨年のトンプソンはシーズンベストが22秒30と調子が上がらなかったが、6月のジャマイカ選手権では22秒00の今季世界最高で走った。5月のダイヤモンドリーグ・ストックホルム大会では0・48秒差でアッシャー・スミスが勝ったが、ユージーンでは接戦が予想される。

200メートルにはアッシャー・スミスに加え100メートルのブレッシング・オカグバレ(30=ナイジェリア)、400メートルのサルワ・エイド・ナセル(23=バーレーン)と、短距離3種目の今季ダイヤモンドリーグ・ポイント1位の選手が出場する。かなり珍しいケースだ。

女子走り高跳びのラシツケネは6月20日に2メートル06の自己タイ、世界歴代5位に成功した。ユージーンは過去にも走り高跳びで好記録が出ている大会。世界記録の2メートル09にバーが上がる可能性がある。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、2016年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。2017年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ(年間)優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計の上位選手がファイナル大会に進出(種目によって異なり7人または8人、または12人)。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、今年9月開幕の世界陸上への出場権が与えられる。ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国ごとの出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。