恵庭北・御家瀬が女子100m連覇、史上9人目

女子100メートル決勝 2連覇を果たした恵庭北・御家瀬(左)と立命館慶祥・石堂(撮影・浅水友輝)

<全国高校総体・陸上女子100メートル>◇5日◇沖縄・タピック県総ひやごんスタジアム

最後の夏に有終の美を飾った。女子100メートルは昨年覇者で、6月の日本選手権を制した御家瀬緑(恵庭北3年)が北海道勢同種目初の2連覇を果たした。タイムは11秒51。決勝は0・1メートルの向かい風を受けながらも、終盤で2位の石堂陽奈(立命館慶祥2年)を100分の5秒差で振り切った。準決勝で自己ベスト11秒50をマークするなど日本女王が貫禄を見せ、大会史上9人目の連覇を果たした。

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沖縄の空のように晴ればれした表情で御家瀬は最後まで競り合った石堂と抱き合った。慣れた様子でカメラマンのリクエストにポーズを決める。優勝インタビューでは笑顔を浮かべて「目標にしていた2連覇ができてうれしいです」。大会前から想定していた11秒5台での決戦。100分の5秒差を制して高校女王の座を守った。

接戦すら楽しむ余裕があった。「競って走る楽しさを感じられた」。レース全体を振り返って御家瀬はそう口にした。準決勝で11秒50の大会新を記録して臨んだ決勝。リアクションタイム(号砲への反応)は8人中6番目。左隣の石堂はトップで走りだした。中盤まで追いかける展開にも、あせらない。「心に余裕があって自分の走りができた」。残り30メートル付近で捉えると、一気に抜き去った。

高校入学時に12秒18だったタイムを更新し続けた。同期の全国中学女王、町井愛海(恵庭北3年)と立命館慶祥に進学した石堂と競った。ライバルの存在が成長を促し、目標に掲げる、日本高校記録に0秒07まで迫った。指導する北海道ハイテクACの中村宏之監督(74)は「もっと中盤から楽に走れば、4台は出せていた」と、発展途上を強調した。

北海道勢初の2連覇を果たしてもまだ夢の続きがある。「最大の目標は日本高校新。体調を整えて秋には出したい」。控室で石堂や決勝を走った仲間と表彰台でのポーズを考え、笑い合う姿は普通の女子高生。そんな普通の18歳が日本の頂点に近づいている。【浅水友輝】

◆北海道勢の総体陸上連覇 過去、計5人(男子2、女子3)が達成している。男子では走り幅跳びで皆川澄人(白樺学園)が07、08年に連覇。直近では400メートルで17、18年に森周志(北海道栄)が果たしている。女子では800メートルで71、72年の小椋紀志子(上士幌)が道勢第1号。100メートル障害の寺田明日香(恵庭北)は05年から唯一の3連覇を果たしている。やり投げの北口榛花(旭川東)は14、15年に達成した。

◆北海道勢の総体100メートル覇者 女子は93年に伊藤佳奈恵(恵庭北3年)が当時の大会新記録11秒72で制したのが第1号。03年には北風沙織(恵庭北3年)が11秒73、07年に寺田明日香(恵庭北3年)が11秒71で優勝。18年には御家瀬が11秒74で道勢初の2年生女王に輝いた。同種目の日本記録保持者・福島千里は帯広南商3年時の2位が最高。男子は95年に西川康秀(函館大有斗3年)が10秒50で優勝している。