連覇の御家瀬、抜群の接地と跳ねる走りで速度を維持

表(1)2018年高校総体陸上女子100メートル決勝データと表(2)2018年日本選手権女子100メートル決勝データ

<スプリンター御家瀬 強さのヒミツ 上>

<全国高校総体・陸上女子100メートル>◇5日◇沖縄・タピック県総ひやごんスタジアム

女子100メートルで連覇を果たした御家瀬緑(恵庭北3年)が準決勝でマークした11秒50は日本高校歴代2位。日刊スポーツでは3回連載「スプリンター御家瀬 強さのヒミツ」と題し、レースを分析したデータや関係者の証言、人物像を通して強さに迫る。

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161センチの御家瀬の強さはどこにあるのか。最大の特徴を女子短距離の第一人者の福島千里(31=セイコー)らを指導した北海道ハイテクACの中村宏之監督(74)は「後半の強さ」と口にする。日本陸連の科学委員会が分析したデータからもその事実が浮かび上がる。

初優勝した昨年の全国総体100メートル決勝でのレース(表(1))を見ると、スタートから10メートル地点には2・07秒で到達している。上位3人で最も遅く、出場8人中4番目の数値だ。ただ20メートルの段階で秒速8・44メートルまで加速。40メートルから90メートルまでを10メートルずつに区切った6区間では、トップの走速度を維持している。1度加速してからの速度の落ち幅が低い。足の接地が抜群で、地面からの反発を受け跳ねるような走りがそれを可能にする。

高校生で唯一決勝に進出して4位に入った18年の日本選手権(表(2))では、最高速度が出現した区間が55メートル地点となる。すでに当時から、福島や17年日本選手権優勝の市川華菜(28=ミズノ)らトップ選手に迫る最高速度をマーク。スピードを持続させる後半型の片りんを見せていたことになる。

2連覇を決めたこの日の決勝もリアクションタイムは8人中6番目。スタート後、すぐに石堂にピッタリとつけ、終盤を見据えた走りで勝ちきった。「こういう足や体の動きをすれば、タイムがそんなに落ちないなというのがわかってきた」。今年の日本選手権や総体のデータはまだ公開されていないが、御家瀬の強さを物語る数字がある。【浅水友輝】