男子200mライルズが大本命/ダイヤモンドL展望

ノア・ライルズ(2019年5月12日撮影)

<陸上:ダイヤモンドリーグ第14戦:バンダム記念展望>◇6日◇ベルギー・ブリュッセル

ダイヤモンドリーグ実施32種目中16種目の最終戦で、今大会の優勝者が年間チャンピオンに決定する(前戦のチューリヒ大会で16種目は決定済み)。

男子200メートルではノア・ライルズ(22=米国)が、前戦100メートルとの2冠に挑戦する。条件が良ければ男子400メートルのフレッド・カーリー(24=米国)とマイケル・ノーマン(21=米国)、3段跳びのウィル・クレイ(28=米国)らに、世界記録に迫るハイレベルの記録が期待できる。

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チューリヒ大会で100メートルに勝ったことで、ライルズの2冠の可能性はきわめて高くなった。

200メートルは今季19秒50の世界歴代4位をマークし、7月のダイヤモンドリーグ・ローザンヌ大会と全米選手権、8月のダイヤモンドリーグ・パリ大会と勝ち続けている。2年前の世界陸上金メダリストのラミル・グリエフ(29=トルコ)や、リオ五輪銀メダルのアンドレ・ドグラッセ(24=カナダ)らライバルも出場するが、今季のライルズなら大本命と言っていい。

ブリュッセルは2年前にライルズが優勝した大会。その前年のU20世界陸上100メートルでは優勝していたが、シニアでの実績は乏しかった。

「他の選手たちが勝つのを見学することになると思っていたら、信じられないことに自分が勝ってしまった。そこに今年は2冠を獲得しに行くんだ」

今年勝てばダイヤモンドリーグ3連勝になり、9月27日開幕の世界陸上初出場&初優勝に弾みがつく。

女子5000メートルにも2冠をかけて出場する選手が2人いる。チューリヒ大会の1500メートルに優勝したシファン・ハッサン(26=オランダ)と、3000メートル障害に優勝したベアトリス・チェプコエチ(28=ケニア)だ。

ハッサンはエチオピアからオランダに2013年に移住。その後世界トップレベルに成長し、15年世界陸上1500メートルで銅メダルを、17年世界陸上は5000メートルで銅メダルを獲得した。今季は5000メートルで14分22秒12のヨーロッパ記録を打ち立てている。

チェプコエチは昨年、3000メートル障害で8分44秒32の世界記録をマークした。昨年は8戦して7勝、今季も7戦6勝と圧倒的な勝率を誇る。5000メートルでも昨年のケニア選手権3位と潜在能力は高そうだ。

2人にとって強敵はヘレン・オビリ(29=ケニア)だろう。オビリは17年世界陸上金メダリストで、ダイヤモンドリーグも現在2シーズン連続優勝している。今年7月のロンドン大会でも14分20秒36の今季世界最高で優勝した。

女子5000メートルは得意種目が異なる3人のダイヤモンドリーグ・チャンピオンが激突する注目の種目だ。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、2016年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していた。2017年からシステムが変更され、ファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会を実施し、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ(年間)優勝者となるチャンピオンシップ形式になった。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4~6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計の上位選手がファイナル大会に進出(種目によって異なり7人または8人、または12人)。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるのに加え、今年9月開幕の世界陸上への出場権が与えられる。ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国ごとの出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。