「ど根性フラミンゴ」前田穂南MGC独走V 五輪内定

26キロ付近をトップで通過する前田(撮影・滝沢徹郎)

<陸上:女子マラソングランドチャンピオンシップ>◇15日◇東京・明治神宮外苑発着42・195キロ

20年東京オリンピックのマラソン代表(3枠)の2枠を懸けたMGCで、前田穂南(23=天満屋)と鈴木亜由子(27=日本郵政グループ)が代表権を獲得した。15キロ過ぎに前に出た前田はその後、増田明美さんから「ど根性フラミンゴ」と名付けられた長い足を使って独走し、2時間25分16秒でゴールに駆け込んだ。前田を懸命に追った鈴木が小原怜(29=天満屋)にわずか4秒差で2位に入った。

身長166センチ、手足の長い前田が先頭で、いちょう並木に戻ってきた。17年8月の北海道を制して女子一番乗りでMGC出場を決め、計画的に強化して鍛えた足はリズムよく動いた。「どういう状況でも対応できるように自分のリズムで走りたい」。2位との差は20キロ地点で2秒、24キロの芝公園の押し返し地点で30秒。20キロ以上独走してゴールを駆け抜けて笑みを浮かべた。

大阪薫英女学院高時代は全国高校駅伝は3年間控え。15年に天満屋に入り、花開いた。17年1月に初マラソン。2戦目でMGCの切符を獲得すると、18年1月の大阪国際は自己記録の2時間23分48秒で2位に入った。ここ2戦は故障や悪条件に苦しんだが、天満屋の看板を背負った23歳は、力強く初の五輪となる東京大会の出場権を得た。

2位で、リオデジャネイロ大会に続く五輪出場権を得たのは27歳の鈴木だ。昨年8月、北海道での初マラソンで優勝。今年2月の初ハーフマラソンは日本歴代3位のタイムを出した。「レースを淡々と走って、しっかり勝負どころを押さえたい」。前田には離されたが、トラックで培ったスピードを含めた総合力への自信は揺るぎなかった。リオデジャネイロ大会では左足の違和感で1万メートルを欠場し、5000メートルは予選落ち。「ちゃんと力が出せれば結果は出る」と臨んだ2度目のマラソンで、五輪に再挑戦する権利を得た。

レース序盤はハイペースを刻んだ。「若さあふれる走りをしたい」と意気込んだ最年少の22歳、一山が飛び出した。1キロは3分17秒、5キロは16分31秒と2時間20分を切ろうかというスピード。スタート直後に野上、1キロすぎに松田、5キロ付近で岩出、7キロすぎに上原が遅れはじめた。

9キロすぎには前田がリードする先頭集団は7人となった。12キロすぎにはレースを引っ張った一山が遅れはじめ、14キロ付近からは、じわじわと松田が離される。浅草・雷門を通過し、15キロすぎの給水ポイントから先頭集団は5人になった。17キロすぎには福士の口が開き、離されはじめた。18キロ手前では安藤が遅れはじめた。前田、鈴木、小原。19キロ手前では小原が後退しはじめた。前田が飛ばし、鈴木が追う展開となった。

20キロ通過タイムは先頭の前田が1時間7分27秒、2秒差で鈴木、11秒差で小原、23秒差で福士、25秒差で安藤、52秒差で松田。35キロ地点で前田は1時間58分53秒、鈴木は2分差、小原は2分39秒差、松田は3分31秒差。蒸し暑さが増す中、最終盤に突入していた。