バズビーとダボ、国境超え“友情”の手助けゴール

ゴールするアルバ代表のバズビー(左)とギニアビサウ共和国代表のダボ(ロイター)

<陸上:世界選手権>◇第1日◇27日(日本時間28日)◇ドーハ・ハリファ競技場◇男子5000メートル予選

陸上の世界選手権(ドーハ)で国を越えた友情に、スタジアムが万雷の拍手に包まれた場面があった。

それは男子5000メートルの予選1組。トップ選手がフィニッシュして3分以上が経過し、もう勝負は決した時だった。

カリブ海に浮かぶオランダ領の島のアルバ代表のジョナサン・バズビーは最後方から2番手を走っていた。残り約200メートル。力を出し尽くし、止まりかけていた。自力では、とても最後まで進めない状態だった。そんな時だった。

最後方だった西アフリカにあるギニアビサウ共和国代表のダボが走ってきた。でも追い抜かない。倒れそうなバズビーの左側に寄り添った。そして最後のカーブの途中で肩に手をかける。今にも倒れそうなバズビーの左腕を体で支え、2人で歩き始めた。まさに二人三脚。大きく温かい拍手がこだました。

最後の直線。バズビーは涙が止まらなくなった。何度も目頭を押さえた。そしてトップ選手がゴールして約5分が過ぎた18分10秒87。2人はフィニッシュラインを越えた。バスビーはトラックに倒れ込んだ。力を合わせ、最後まで完走した。その間、ずっと拍手は鳴りやまなかった。

競技規則では手助けを受けることは行為は禁じられている。そのためバズビーは記録上は失格になった。しかし、2人とって国を越えたスポーツマンシップの友情の果てに、記録に残るか、なんて関係なかった。