日本新記録の山県亮太、次の目標は蘇炳添のアジア記録9秒91

自身の日本新を1面で伝える7日付日刊スポーツを手に笑顔の山県(撮影・上田悠太)

陸上男子100メートルで9秒95の日本新記録を樹立した山県亮太(28=セイコー)が粋なサプライズ祝福を受けた。鳥取市で行われた布勢スプリントのレースから一夜明けた7日、鳥取空港から全日空機に搭乗。羽田空港に着陸し、駐機場へ進んでいる時だった。機内にアナウンスが流れた。

まずは女性客室乗務員から。「9秒95の日本新記録をマークした山県選手。おめでとうございます。コロナ禍の暗く、不安な日々の中、明るく、胸躍るニュースを届けてくださり、ありがとうございます。これからも山県選手のご活躍をお祈り申し上げます」。自然と拍手がわき、その後、機長の言葉も続いた。「けがに苦しんでいたと報道でうかがっております。さらなる今後の活躍を期待しております。中学時代の100メートル自己ベスト12秒00より、お祝いを申し上げます」。心温まるアナウンスに機内は笑顔にあふれて、和やかな祝福ムードになった。

飛行機を降り、預けていた荷物を空港で待っていた山県は「少し恥ずかしかったですけど、本当にうれしかったです。こんなことなかなかないので」。照れながら、喜びに浸った。

幼少期のあだ名は「ジェット桐生」で、日本人初の9秒台スプリンターである桐生祥秀からは「盛り上げますね」とラインが届き、「桐生が決勝を棄権したから代わりに盛り上げておいたよ」と返した。自己ベストを0秒05更新する日本新を出したが、まだまだ上昇気流に乗っていく。「アジア記録(9秒91)を蘇炳添選手(中国)が持っている。それに追いつけるように頑張りたい」。さらなる高みへと飛び立っていくつもりだ。【上田悠太】