【世界陸上】ウクライナのマフチフが女子走り高跳びで2大会連続銀「苦しくて難しい状況だった」

女子走り高跳びで2位となり、観客の声援に応えるウクライナのマフチフ(代表撮影)

<陸上:世界選手権>◇第5日◇19日(日本時間20日)◇ユージン(米オレゴン州 )・ヘイワードフィールド◇女子走り高跳び決勝

東京五輪女子走り高跳び銅のヤロスラワ・マフチフ(20=ウクライナ)が2大会連続の銀メダルを獲得した。

目元にはウクライナの国旗色の青と黄色のメークを施し、印象的なツインテールを風になびかせて、跳躍し続けた。2メートル4センチを3度失敗し、優勝には届かなかったが、その姿に大きな拍手が送られた。

16日の予選後、「私が金メダルを取れば、ウクライナの人々にいいニュースを届けられる。少しでも笑顔にできる。それが私のモチベーション」と母国を思いやりながら意気込みを語った。

ロシアによる侵攻が始まった2月24日は自宅にいた。パスポートとわずかな現金を持って、車で国外に避難。練習を重ね、約3週間後の世界室内選手権で不屈の姿を見せた。「本当に苦しくて難しい状況だった。ウクライナでは100人近くのスポーツ選手やコーチが亡くなっている。故郷の人たちは、この時間を絶対に忘れることはない」。母国には帰れていない。ただ、競技を通じて郷里に力を届けたいと奮闘してきた。遠くオレゴンから、その思いを果たした。