札幌学院大鹿内万敬監督、全国に門戸開放の今秋箱根駅伝予選会へ「最大限チャレンジしたい」

練習を積む札幌学院大の選手たち(札幌学院大提供)

第100回の記念大会として迎える次回の箱根駅伝(24年1月2、3日)は、全国に門戸が開放される。10月の予選会は関東以外の全国の大学が参加が可能になる。全日本大学駅伝29度出場の札幌学院大・鹿内万敬(かずのり)監督(50)は予選会出場に意欲を示す一方、関東と実力差があることから3月に開かれる日本学生ハーフマラソン選手権の結果を受け、最終判断する構えだ。

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今秋に開催される第100回箱根駅伝の予選会はオープン化され、条件さえ満たせば全国の大学が参戦可能になる。地方の大学も出場が可能で、北海道の学生にも箱根へのチャンスがある。全日本過去29度の出場を誇る札幌学院大・鹿内監督は「可能性がある以上は出る方向で進めていきたい」と前向きな姿勢をとっている。

昨年6月に関東学生陸上競技連盟が、従来の予選会参加資格を「関東学生陸上競技連盟男子登録者」から「日本学生陸上競技連合男子登録者」に変更。関東以外の大学でも、箱根路にトライできる機会がめぐってきた。同監督は「チャンスとしてとらえるならば、やりたい人もいるだろうけれども、それがないことも前提で、地方の大学に進んでいるという人もいると思う。うちの学生たちはどうするか」と、選手の意思を尊重しながら慎重に判断したい考えだ。

関東以外の大学にとって駅伝の壁は厚い。昨年11月の全日本大学駅伝では15位までを関東勢が占めた。特に北海道は例年、積雪で練習環境が制限される。近年、箱根を走るトップランナーは1万メートル27分台中盤のベストタイムを持つ選手が多く、28分台で走る選手も数多くいる。札幌学院大の現部員は同29分台1人、30分台2人、31分台10人と差がある。

10月の予選会の選考方法は各校12人以内が出走してハーフマラソン(21・0975キロ)を一斉に走り、上位10人の合計タイムで出場権を争う。全日本は8区間(106・8キロ)に対し、箱根では10区間(217・1キロ)でタスキをつながなければならない。今年総合優勝した駒大は部員42人、過去6度の総合優勝を誇る青学大は同49人と、戦うには選手層の厚さも必要になる。

ハーフマラソンの距離で争う箱根予選会への適応は容易ではないが、札幌学院大では来年、新入生を含め50人弱の部員がそろう予定だ。鹿内監督は「大変難しいと思っている。しっかりと10人が走れて勝負できるかが前提。全力でやってもなかなか難しい」と、難易度の高さは十分理解しながら活動を進めている。

予選会まで約9カ月。札幌学院大の選手は、3月の日本学生ハーフマラソン選手権で力試しする予定でいる。“仮想箱根予選会”に向けて鹿内監督は「その結果を踏まえて本当に(予選会に)いくかどうか、決心をつけるタイミングなのかなと思ってはいる」と口にする。

例年、箱根予選会と全日本の大会間隔は1カ月もない。今年も過密スケジュールを余儀なくされる可能性はあるが「最大限チャレンジはしたい」と鹿内監督。今年の第99回大会は、駒大が史上5校目の大学3冠に輝いた。記念大会を機に大きな転換期を迎えることになるであろう来年の箱根駅伝。北海道の学生にとっても1つのターニングポイントになるかもしれない。【山崎純一】

◆箱根駅伝予選会 例年10月に開催。東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地スタート。立川市街地を走り、国営昭和記念公園ゴールのハーフマラソン(21・0975キロ)。各校14人までのエントリー選手のうち、10~12人が出場する。チーム上位10人の所要合計タイムの少ない10校が本戦出場権を獲得できる。今年までの出場資格は関東学生陸上競技連盟の男子登録者で、予選会ならびに大会の出場回数が通算4回未満。エントリー選手全員が1万メートルで34分0秒以内となるトラックでの公認記録を持っていることが条件。

◆箱根駅伝 誕生は1920年(大9)で、東京高師(現筑波大)が優勝。マラソンの父・金栗四三らの「世界に通用するランナーを育成したい」との思いが創設につながった。関東以外の大学の出場は戦前の28、31、32年に関大が3度。64年の第40回大会には福岡大、立命大が参戦し、04年の第80回大会は日本学連選抜の一員として京産大、岡山大などの選手も舞台に立ったが、いずれもオープン参加。優勝回数は中大の14回がトップ。今年の第99回大会は、駒大が2年ぶり8度目の総合優勝を果たした。