【東京マラソン】西山雄介「オリンピックに行きたかった…」涙 日本勢最高も設定切れず五輪逃す

日本人トップでゴールするも悔しい表情の西山(撮影・宮地輝)

<東京マラソン>◇3日◇東京都庁~東京駅前・行幸通り(42・195キロ)

22年世界選手権代表の西山雄介(29=トヨタ自動車)が日本勢トップでゴールテープを切るも、パリ五輪男子代表最後の切符はつかめなかった。自己ベスト2時間07分47秒を上回る2時間6分32秒(速報値)で9位でゴール。しかし、パリ五輪出場への設定記録2時間5分50秒を切ることが出来なかった。

「オリンピックに行きたかったです。(日本勢トップも)5分50(秒)を切らないと意味がないので悔しいです。オリンピックに行きたい思いで積極的なレースを心がけたんですが、ダメでした」と涙声で悔しさをにじませた。

世界新ペースで進むレース展開の中、33キロすぎに日本勢単独トップに立ち、35キロ過ぎにはキプチョゲを捉える力走。そのまま日本勢トップでゴールした。「自分の走りでいろんな方が元気になったり、明るくなってくれたらうれしいことなので、そこはよかったなと思います」。今後の目標については「パリしかなかったので、ゆっくりして考えたい」と話すにとどめた。

この結果、昨年10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で3位だった大迫傑(32=ナイキ)がパリ五輪男子マラソン3枠目の代表に決まった。

レースは男子マラソン日本記録(2時間4分56秒)保持者の鈴木健吾(28=富士通)をはじめ、日本の有力選手たちはスタートの1キロを2分55秒の日本記録(2時間4分56秒)ペースで突っ込んだ。5キロも2時間5分50秒のパリ五輪設定タイムペースで刻み、2時間0分台の世界記録ペースで飛ばす外国勢の先頭集団に続いた。

8キロすぎに昨年の世界選手権12位で日本歴代3位の自己記録(2時間5分51秒)を持つ山下一貴(26=三菱重工)が大集団からズルズルと後退。10キロ地点で集団とは約20秒の差がついた。

15キロも設定タイムを切るペース。ハーフマラソン日本記録保持者の小椋裕介(30=ヤクルト)、昨年の世界選手権代表の其田健也(30=JR東日本)、21年東京五輪代表の服部勇馬(30=トヨタ自動車)らが集団の先頭を引っ張ったが、20キロ地点で初めて設定タイムのペースから遅れた。

22キロすぎには21年東京五輪代表の服部、細谷恭平(28=黒崎播磨)ら有力選手たちが集団から後れ始めた。25キロ地点で集団は再び設定タイムを切るペースに戻したが、27キロすぎに日本記録保持者の鈴木がズルズルと集団から遅れ始めた。

19キロすぎに転倒に巻き込まれた西山雄が28キロすぎに集団の前に出ると、30キロ地点で浦野雄平(26=富士通)が日本人トップに飛び出した。33キロすぎに西山雄が浦野を抜き返して日本人単独トップに出た。

35キロ地点の西山雄の通過タイムは、設定タイムのペースとほぼ同じ。ラスト7・195キロの勝負になった。

36キロすぎに其田が浦野を抜いて日本人2番手に上がると、同トップの西山雄と15秒差まで詰め寄ったが、そのまま西山雄が、日本人トップでフィニッシュした。

38キロすぎに単独トップに立ったベンソン・キプルト(ケニア)が優勝した。

 

◆パリ五輪への道 男女マラソン代表は各3枠。男子は昨年10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)1位の小山直城、同2位の赤崎暁が決定。残り1枠は、東京マラソンで設定記録(2時間5分50秒)を突破した最上位選手が内定する。突破者不在の場合は、MGC3位の大迫傑が代表決定。女子は10日の名古屋ウィメンズマラソンが最終選考会となっており、東京マラソンは対象大会ではない。