<陸上:世界選手権>◇第4日◇16日◇東京・国立競技場◇男子110メートル障害決勝
村竹ラシッド(23=JAL)が世界大会で2年連続の5位入賞を収めた。13秒18(向かい風0・3メートル)となり、昨夏のパリ五輪と同順位。同種目日本人初のメダルには0秒06届かず、大粒の涙を流した。
「人生でこんなに悔しいことはないかもしれない。こんなに打ち込んだのに何が足りなかったんだろう」
うつむきながら声を振り絞った。
その涙が成長を物語っていた。トーゴ人の父と日本人の母のもとに生まれて小5から競技を始め、高3で全国高校総体を制覇。ただ、順大2年時だった21年東京五輪には立てなかった。重要選考会だった日本選手権決勝でフライング失格。自室に約1週間こもった。
当時は厳しい練習に「早く辞めたい」と思ってばかりだったが「もっと真剣だったら五輪に立てたかも」と思い直した。人生の分岐点となった。
昨夏のパリ五輪5位を経て、今季は序盤から「12秒台を出す」と宣言。8月には日本人最速の12秒92を出して有言実行し「メダルを取るだけのことを積み上げてきた」と自信もあった。
この日、4年前の五輪でかなわなかった国立競技場に立った。ちょうど半分の5台目のハードルまではメダル争いに食らいついたが、後半に引き離された。
「足りなかった」と何度も悔いたが「こんなに1つのことに打ち込めるものはない。成長できた4年間だった」とこれまでの日々には胸を張った。
「脚が持つ限り、何年かかってでもメダルを狙いたい」
この涙を糧に、夢を追いかけ続ける。【藤塚大輔】