【陸上】涙の初V!山本有真「田中さんにずっと日本の先頭を走らせちゃいけない」ラストでかわす

第110回日本陸上競技選手権大会 第1日 女子5000メートル決勝 力走する田中希実(左)と山本有真(撮影・宮地輝)=2026年6月12日

<陸上:日本選手権>◇12日◇第1日◇愛知・パロマ瑞穂スタジアム◇女子5000メートル

24年パリ五輪代表の山本有真(26=積水化学)が、今季初レースで14分59秒89で初優勝を飾った。大会史上2人目の14分台でフィニッシュし、1秒04差で4連覇中の田中希実をストップ。9月の愛知・名古屋アジア大会代表入りの条件もクリアした。昨年9月の世界選手権東京大会での予選敗退や、ケガで代表選手としての葛藤も抱えてきたが、ライバルの存在を力に変換。思い出の地で結果を残した。

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ラスト50メートル。サングラスをかけていた山本の口元は笑っているように見えた。先頭を独走していた田中の背中が徐々に大きくなる。

「田中さんに勝ちたいというよりかは、田中さんにずっと日本の先頭を走らせちゃいけないと思った」。4年間誰も抜けなかった日本記録保持者をかわした山本は、大粒の涙を流して勝利の味をかみしめていた。

日本歴代6位の好タイムは昨秋の世界選手権では6位入賞相当。同12位の田中のタイムも上回っていた。同選手権以降は「出る意味あんのかな」と日の丸の重責を感じ、トラックレースからも遠ざかった。

今年4月には自身初の米国合宿にも参加。田中やライバル選手たちと走り込む予定だったが、右脚を負傷したことで「みんなが走っているのを見ていてすごく悔しかった」と振り返る。

それでも、レース前には世界選手権後に殴り書きしたノートから「14分台を出したい」との言葉も胸に刻み、名城大時代を過ごした愛知での激走に変えた。

約9カ月ぶりに挑んだ初レースで強敵に競り勝った経験は自信となる。「日本代表として、堂々と走れるというすがすがしい気持ちがある」と笑顔を見せた。