【全文】田中希実「コーチを変えたほうがいいと」「別の人を見つけてと」V逸翌日に明かした思い

女子1500メートル予選 力走する田中希実(撮影・宮地輝)

<陸上:日本選手権>◇13日◇第2日◇愛知・パロマ瑞穂スタジアム◇女子1500メートル予選2組

日本記録保持者の田中希実(26ー豊田自動織機)は1周目から独走し、4分06秒43で全体トップ通過した。

組2着の道下美槻に9秒以上の差をつけ、9月のアジア大会の派遣設定記録(4分7秒68)をクリア。2位となった12日の5000メートル決勝から一夜明け、圧巻の独走劇を見せた。14日の決勝では7連覇がかかる。

田中は父・健智コーチと2人3脚で歩んできた。レース後のコメント全文は以下の通り。

「昨日は23時くらいにホテルについて、父とミーティングをして。あらためて自分らしさを見つけるには、今日の予選でどういう走りをするのかを話した。昨日走って分かったのは、今、タイムに対するこだわり、順位に対するこだわりをどうしても持てない。だからこそ昨日も悔しいというより、いつか負けると思っていて実際に負けた、という感じに近かった。

今までは『あぁ、自分は選手として終わったんだ』と思っていたけれど、それでも走るのが自分自身だと思って。それが競技者としてどうなのかというのはあるけれど、自分は自分にうそをつけない。何もこだわりを持っていないのが、自分なんだとあらためて感じた。こだわりも何も持たずに走る。そうすることで、どう思うのかと、皆さん問い続けるレースがしたい。本当の意味で走っている姿で見せられる選手になりたい。ここ1年、ここ1カ月、ずっと考え続けてきた1つの答えなのかなと思います。

昨日は自分で自分の可能性を諦めて、閉ざしてしまったと思います。今日は最後まで止まらず、駆け抜けられるかどうかが優先だったかなと思います。

(昨日のミーティングでは)30分くらいしか話さなかった。ネガティブな意味で何も目指したくないのではなく、走ることで何かを目指したいと、前向きに伝えることができたと思います。世間的には『コーチを変えたほうがいいのでは』という声も入ってくる。甘えというより、自分に負けるという言葉をよく口にする。自分を真に信じられないからこそ、誰の言葉も信じられない。父もそこにすごく無力感を感じている。父がつくってくれたチームや父が考えてくれた言葉が入っていないので。

でもそれは自分自身で乗り越えるしかない苦悩。父は近くで見ていたくないと思います。今は(父は)見たくて、私を見てくれているのではなく、私が最後まで見届けてほしい、と(思って見てくれている)。それを伝えても『それもしんどいから、別の人を見つけてくれ』と言われて(笑い)。今日は『こういうレースをしたい』と伝えて、父も納得してくれた。ひとまず今日は一緒に向かうことができたのかなと思います。

明日は別のモチベーションで臨むことになると思いますが、本当の意味で何がしたいのかを見つけたい。最近は目前のレースが迫れば迫るほど、自分は本当に勝ちたいのだろうか、と。そっちばかりへいってしまう。直前でそういうタイミングが来るかもしれないですが、それは勝つ、勝負するという次元にいけていない印。自分自身と向き合う。それを自分に問うのではなく、見てくださってる皆さんに問いかけるように、外向きのパワーに変えていきたいです」