【陸上】苦しさ乗り越え…久保凛「やっと帰って来られた」復活3連覇「貴重で一番うれしい優勝」

女子800メートル決勝 3連覇を達成した久保凛(撮影・宮地輝)

<陸上:日本選手権>◇13日◇第2日◇愛知・パロマ瑞穂スタジアム◇女子800メートル決勝

女子800メートルで日本記録保持者の久保凛(18=積水化学)が、04~06年の杉森美保以来6人目の3連覇を達成した。今季ベストの2分1秒54で日本陸連が定める9月の愛知・名古屋アジア大会代表の選考基準もクリア。5月の社会人デビュー戦では涙を流して出遅れたが、練習仲間の支えを反撃の力に変えてきた。重圧を乗り越えて再び世界を目指す高卒ルーキーのサクセスストーリーはここから始まる。

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悔し涙をうれし涙に変えた。12日に全体2位の予選で独走した久保はこの日、後半勝負に徹した。前半3番手から追い上げ、最後の直線では伸びやかなフォームでスパート。予選トップの塩見綾乃をかわした。

ここまでクリアできなかった派遣設定記録を0秒13上回ると、顔を覆った。目を真っ赤にしてこう喜びをかみしめていた。

「ここまで立つだけでもすごくしんどかった。自己ベストではないけど、やっとここまで帰って来られた。今回の3連覇はすごく貴重で一番うれしい優勝」。

東大阪大敬愛高を卒業後、4月から東京で社会人生活を始めて約1カ月半。理想とのギャップに苦しんだ。

今季初戦となった5月の木南記念はまさかの7位。「自信がなくなっちゃって一瞬無理と心が折れかけた」。予定していた公式レースもキャンセル。しばらくは食事ものどを通らなかったという。

それでも、5月末のMDCで優勝し、復活の兆しを見せた。浮上のきっかけとなったのは、練習拠点の「TWOLAPS」の仲間。合宿先でドライブに連れて行ってもらえば、女子1万メートル日本記録保持者の新谷仁美との会話では勇気づけられた。

「自分よりも苦しい経験をしているからこそ分かってくれてありがたかった。本当に最高のチーム」。

仲間への感謝を3連覇への力に変えていた。

大会後の15日は、いとこで、サッカーW杯北中米大会日本代表の久保建英のオランダ戦を応援予定。「明後日(15日)からサッカーで!」と呼びかけた。

アジア大会代表入りを確実にしても、さらなる高みを見据える。

来年秋開催の世界選手権北京大会の参加標準記録(1分57秒50)は自身の日本記録より2秒02も速い。

「もっと切れを入れて一気に57秒台をポンッと出せるようにパワーをつけたい」。ここから豊かな成長曲線を描く。【泉光太郎】