【陸上】マラソン競歩で勝木隼人が金メダル「長い方が僕は速い。後半にどんどん加速していく」

男子マラソン競歩で優勝を決めた勝木隼人は日の丸を背にポーズを決める(撮影・滝沢徹郎)

<愛知・名古屋アジア大会:陸上>◇26日◇マラソン競歩◇愛知県庁・名古屋市役所周辺コース

35歳になっても「やる気!元気!勝木!」-。今季から本格導入された非五輪種目の陸上男子マラソン競歩で、勝木隼人(自衛隊)が18年ジャカルタ大会50キロ以来2度目の金メダルを獲得した。3時間3分36秒で、日本競歩勢初2度目のアジア制覇。判定に多くのウォーカーが苦戦する中、経験豊富な「安全運転」でレースを進めたベテランは、五輪種目復帰を見据えて挑戦を続ける。

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残り1周を知らせる鐘が鳴ると、勝木は沿道の声援に応えるように拳を何度も振った。勝利を確信する「ウイニング・ウォーク」。2位の中国選手に3分4秒差をつける文句なしの圧勝だ。ゴールテープを前にすると片手で思い切りつかんで、喜びを爆発させた。8年ぶりのアジアの頂点に「最高の順位を取れてすごくうれしい」と破顔した。

レース前は世界陸連の初回認定記録(2時間56分30秒)を更新する世界記録樹立を狙った。しかし「ジャッジが怖い状態にあった。まずはスローペースで入った」。23日に行われたハーフマラソン競歩の判定の厳しさを見て方針を変更。ペースを抑え、審判の反応を見極めた。

3回もらえばペナルティーエリア内で4分間の待機となる警告を受けたのは1度だけ。一騎打ちだった中国選手が31キロ付近で離れてからも、頭の中で描いた「安全運転」を貫き、自身の歩型に注意を払った。

50キロが21年東京五輪限りで世界大会の種目から外れて、35キロが主戦場に。スピード強化に取り組み、歩型の乱れに苦しんだ時期もあったが、昨年の世界選手権35キロで3位に入った。

その35キロに代わり、新たに導入されたのが、マラソンと同じ42・195キロを歩くロード種目。7キロ以上延びたことに勝木は「審判のリスクを考えると長くなった分、きつい」と懸念を示す。しかし「長い方が僕は速い。なぜか分からないけど後半にどんどん加速していくタイプ」とも言う。8年前の50キロでアジアの頂点を極めたロング種目へのスタミナやレース感覚は健在だった。

昨年10月にはマラソン競歩で2時間55分28秒をマークし、世界記録の基準(2時間56分30秒)を上回ったものの、新種目の認定開始前で公認されなかった。それでも、自身やライバル選手を含めて「(世界記録は)1年以内に間違いなく出る」と断言する。男子ハーフ競歩は山西利和がすでに世界記録を保持。マラソン競歩でも世界新が樹立すれば、ロード2種目は日本の牙城(がじょう)となる。

28年ロサンゼルス五輪ではハーフ競歩だけ実施される中、勝木は野望を口にする。「五輪種目に戻したい」。SNSで「やる気元気勝木」のキャッチコピーで競歩をアピールしているように、これからも第一線を歩き続ける。【泉光太郎】

◆勝木隼人(かつき・はやと)1990年(平2)11月28日、福岡・大野城市生まれ。平野中、武蔵台高を経て、東海大2年時の10年に競歩開始。11年から日本学生対校選手権1万メートル競歩2連覇。卒業後はサポート企業が見つからず、野球場でグッズ売りのアルバイトをした苦労人。21年東京五輪30位。25年世界選手権銅。4月の世界チーム選手権団体金。168センチ。

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