リーグ屈指のアイドルが狙う「3連覇」を阻むのは意外なダークホース、いや“ダークディアー(鹿)”かもしれない。

Bリーグのマスコット総選挙の投票受付が、9日正午にスタート。シーズンで最も印象に残ったマスコットをファンが決めるこのイベントは今年で3回目だ。特設サイトやSNSなどから投票でき、締め切りは15日。翌16日に6位以下が判明し、ベスト5の順位は「Bリーグ・アワード」(5月予定)で発表される

過去2回のイベントはいずれも千葉ジェッツのジャンボくんが優勝した。ピンク色をした愛らしい子象のキャラクターで、人気は絶大。3連覇を果たせば殿堂入りし、来季は「Bリーグベストマスコット」として活動することになる。

前回はこのジャンボくんを筆頭に、関東エリアに本拠地を置く観客動員数の多いB1クラブのマスコットが上位5位までを占めた。そうした中で6位に奮闘したのが、昨季B2西地区で下位だったバンビシャス奈良のシカッチェだ。

子鹿をモチーフとしたフォトジェニックなそのキャラクターは、うるうるした目が印象的。バスケットボールをあしらったおしゃれなポシェットを肩に掛け、その中に入った「アメちゃん」を配りながら愛嬌(あいきょう)をふりまく。口ぶりは幼く、語尾に「なのです」とつけるのが特徴だ。

シカッチェの人気の理由について、チーム広報は「Bリーグにはカッコイイ系のマスコットが多い中で、貴重なかわいい系キャラということが受けているのでは」と分析する。アウェーチームのファンからも人気があるようで、前回の総選挙で健闘した要因も「バンビシャスだけでなく、他チームのブースター(=サポーター)も投票してくれたのかも」と推論する。もちろん、地元奈良のファンも熱い。「#シカッチェNo1大作戦」などのハッシュタグで投票を呼びかけ、愛するマスコットの躍進を願っている。

苦しい経営状態が続くクラブにあって、新型コロナウイルス感染拡大の影響でリーグ戦が打ち切りとなったダメージは小さくないはずだ。そうした中でシカッチェのグッズ売り上げは、貴重な収入源の1つとなっている。

B2でも弱小だったチームは今季、創設初の7連勝を飾るなど成長のあとを刻んだ。選手たちの頑張りを励みに、マスコットは今度の総選挙で前回以上の結果を目指している。本紙のインタビューに応じたシカッチェは「いまの世の中の状況だからこそ、ビーアンビシャス、上位進出をねらっているのです」と力強く宣言。B2からの下克上へ。世間に漂う重たいムードを少しでも振り払うべく、明るいサプライズを届けようと意気込んでいる。【奥岡幹浩】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「WeLoveSports」)

第3回Bリーグマスコット総選挙に臨むバンビシャス奈良のシカッチェ(チーム提供)
第3回Bリーグマスコット総選挙に臨むバンビシャス奈良のシカッチェ(チーム提供)