それでも、世界一の高さは大きな武器。難しいトリックを余裕を持って決めることができ、小さい頃の体操競技経験で空中感覚も鋭い。「米国やオーストラリアが強く、最近は欧州勢も力がある」と全日本フリースタイルBMX連盟の出口智嗣理事長(39)は話しながらも「このまま伸びれば、世界のトップに立てる力がある」と目を細める。これまで憧れの存在だった五輪のヒーローたち。「金メダルを下げたい」。中村は東京五輪のヒーローを目標に言い切った。【荻島弘一】

 ◆中村輪夢(なかむら・りむ)2002年(平14)2月9日、京都府生まれ。3歳からBMXを始め、小学生の時にキッズクラスで活躍。15年に13歳で本場米国のRECONツアー(13~15歳クラス)を制し、同世代の世界一に。昨年は国内最高峰のペルージャ杯オープンクラスで優勝し、14歳で日本一に輝いた。家族は両親と姉。165センチ、55キロ。

 ◆BMXフリースタイル ダートコースでスピードを競うBMXレースと違い平地や斜面、ランプなどでトリック(技)を競う採点競技。今回採用された「パーク」は大小さまざまなセクションが設けられたパークで行われる。規定の持ち時間1分間で行われた複数のトリックを、ジャッジが難易度や完成度、オリジナリティーを99・99点満点で採点する。予選、決勝ともこれを2回行い、いい方の成績を採用する。全日本連盟によると、国内の競技人口は約1000人。