空飛ぶ中村輪夢!東京五輪自転車BMXの星が夢語る

スーパーマンシートグラブを披露する中村(撮影・野上伸悟)

 世界一の高さで金メダルを-。20年東京五輪の新種目になった自転車BMXフリースタイル・パークのホープ、中村輪夢(りむ、15)が、大きな目標を掲げた。京都在住の中村は12日、東京・足立区の聖地「ムラサキパーク」で練習を公開。多くの報道陣の前で世界屈指の高さを誇るトリックを披露し、3年後の東京五輪でヒーローになることを誓った。

 報道陣のカメラが、一斉に空に向く。ランプから飛びだした中村は、体から離したBMXを手にしたハンドルを支点に2回転。再びまたがると華麗に斜面を駆け下りた。「ダブルテールウィップ」の大技。2メートルのランプから3メートル近くも舞い上がり「こだわりがある」という高さを見せた。

 「まったく考えてもいなかった」五輪が目標になったのは、国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪の実施全種目を発表した9日夜。昨年から国際自転車連合(UCI)が管轄下に置き、来年のユース五輪でも採用が決まっていただけに「うわさはあった」と言うが、正式決定に「本当にうれしい。注目されるのは好きなので」と、50人もの報道陣を前に話した。

 15歳以下の「ジュニア」では国内外のタイトルを持つ中村だが、シニアが競うW杯は今年から。「足りない部分はたくさんある。もっと練習しないと」と厳しい表情で話した。五輪出場枠は男女各9人。予選方法は未定だが、野球など開催都市提案の追加種目と違い開催国枠も微妙だ。出場だけでも簡単ではない。

 それでも、世界一の高さは大きな武器。難しいトリックを余裕を持って決めることができ、小さい頃の体操競技経験で空中感覚も鋭い。「米国やオーストラリアが強く、最近は欧州勢も力がある」と全日本フリースタイルBMX連盟の出口智嗣理事長(39)は話しながらも「このまま伸びれば、世界のトップに立てる力がある」と目を細める。これまで憧れの存在だった五輪のヒーローたち。「金メダルを下げたい」。中村は東京五輪のヒーローを目標に言い切った。【荻島弘一】

 ◆中村輪夢(なかむら・りむ)2002年(平14)2月9日、京都府生まれ。3歳からBMXを始め、小学生の時にキッズクラスで活躍。15年に13歳で本場米国のRECONツアー(13~15歳クラス)を制し、同世代の世界一に。昨年は国内最高峰のペルージャ杯オープンクラスで優勝し、14歳で日本一に輝いた。家族は両親と姉。165センチ、55キロ。

 ◆BMXフリースタイル ダートコースでスピードを競うBMXレースと違い平地や斜面、ランプなどでトリック(技)を競う採点競技。今回採用された「パーク」は大小さまざまなセクションが設けられたパークで行われる。規定の持ち時間1分間で行われた複数のトリックを、ジャッジが難易度や完成度、オリジナリティーを99・99点満点で採点する。予選、決勝ともこれを2回行い、いい方の成績を採用する。全日本連盟によると、国内の競技人口は約1000人。