フィギュアスケート・アイスダンスで30年フランス・アルプス五輪を目指す本田真凜(24)宇野昌磨(28)組(トヨタ自動車)が14日、東京辰巳アイスアリーナで公開練習を行った。5月に競技復帰を発表した2人が、報道陣の前で滑るのは初めて。宇野のシングル時代の代名詞「クリムキンイーグル」を取り入れたオリジナル技を披露するなど、今秋の全日本選手権予選会へ向けて順調な仕上がりを印象付けた。
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滑っては止まり、言葉を交わしてまた滑る。宇野と本田の視線は終始、互いだけに向いていた。リンクサイドには報道陣65人、TVカメラ約20台が集結。宇野は「シングルの時も、これだけ多くのカメラの前で公開練習したことはない」と驚きつつも、「特別なことではなく、いつも通りを見せればいいと思っていた」。普段と変わらない、2人だけの30分だった。
北京五輪団体銀メダリスト小松原美里さんに指導を受けながら、ツイズルやリフト、ステップを細かく確認。フリー曲を流し、振り付けをすり合わせた。「点数にならない部分に時間をかける」と宇野。採点表には表れない細部まで息を合わせていく。
代名詞も、新たな武器として生まれ変わった。宇野が深く腰を落としたクリムキンイーグルの体勢で、上体を大きく反らした本田を支える独創的なリフトを披露。「自分たちだけがやっているところに少なからず自信を持ってやることができる。後押ししてくれる技」と手応えを示した。男性が大柄なカップルが一般的な中で、宇野は本田より6センチ低い。それでも「補うのではなく生かす」と自らのスタイルを追求する。
2人はアイスショーと並行しながら、24年10月から本格的に同種目に挑戦。「五輪がどれだけ難しいか分かっている」と試合を急がず、基礎を磨いてきた。肉体づくりも対照的で、本田は食事管理を徹底し、宇野は「なるべく食べよう」と約3キロ増量。「真凜が乗って安心できる土台になる」と、五輪2大会連続メダルの実績に安住せず、一から地盤を固めた。
今秋の全日本選手権予選会がデビュー戦。本田は「1年目だからといってビビらずに、爪痕を残すつもりで戦う」と宣言。宇野も「結果で表すことが、自分たちがやる意義」と力を込めた。いつも通り。確認作業の積み重ねが、五輪への一歩になる。【勝部晃多】
○…国内外の知見を集めた体制で挑む。初年度は宇野が長年師事するステファン・ランビエル氏が競技会に帯同。技術面では小松原さんやティム・コレトさんらの助言を受ける。リズムダンス「ポエタ」は宮本賢二氏、フリーダンス「四季」は4大陸選手権王者ジャンリュック・ベイカー氏が振り付けを担当。今後もブラッシュアップを重ねる予定で、宇野は「いろんな場所でいろんな物を得て、プラスになるよう挑戦したい」と見据えた。