<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダ>◇1日(日本時間2日)◇ケロウナ・プロスペラ・プレイス◇女子フリー
【ケロウナ(カナダ)=藤塚大輔】島田麻央(18=木下グループ)がGPデビュー戦を今季世界最高の合計235・44点で制した。ショートプログラム(SP)に続いてフリーも1位の153・33点とし、合計で自己ベストをマーク。日本女子4人目のGP初出場優勝を飾り、ノービス時代から続く国際大会の連勝は「21」に伸びた。シニア転向1年目で、高校3年生の“令和のマオ”が、世界に衝撃を与えた。
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フィニッシュの前から、カナダの観客は総立ちだった。右足を顔の横まで上げ、体を高速で回転させるスピン。島田は氷上でグルグルと回りながら、喜びをかみしめていた。「スタオベ(スタンディングオベーション)は見えなかったけど、歓声は聞こえてきた。すごく気持ち良かった」。演技後はスタンドからは「マオ!」の声が響いた。冒頭でトリプルアクセル(3回転半)を決め、4回転トーループも着氷。大技2発で空気を支配し、今季世界最高得点でGP初陣を飾った。
笑顔の裏では、苦悩があった。国際スケート連盟(ISU)は22年に健康や発達の優先などを目的に、シニア最低年齢の引き上げを発表。08年10月生まれの島田は規定に約4カ月足りず、26年ミラノ・コルティナ五輪の出場資格が付与されなかった。どれだけ活躍しても、夢舞台に立つことができない。「苦しかった4年間だった。(ミラノ)五輪までは(前向きには)思えなかった」。それが本心だった。
それでもルールを受け入れて、努力を重ねた。高校生になって意欲が湧かない日があり、3時間の練習を1時間で切り上げたことが1度だけあったが、練習を休むことはなかった。「試合の時に疲れていることもある。それでも最低限はできるように練習してきた」。ジュニアの大会は39戦無敗。昨季の世界ジュニア選手権では前人未到の4連覇を果たした。
努力の積み重ねは、裏切らなかった。この日は練習で4回転トーループが1度も決まらなかったが、本番では回転不足になりながらも着氷。「絶対に立て直す」と強気だった。
今季からハイレベルなシニアの争いに身を投じ、今は「スケートが好き」と心から思う。ジュニアの頃の苦悩にも、意味があった。「それを乗り越えたからこそ、今はつらいことがあっても何も思わない。(ジュニアの)4年間を経験できたのは、今思えば良かった」。4年後の五輪へ。価値のある一歩を踏み出した。
◆島田麻央(しまだ・まお)2008年(平20)10月30日、東京・小金井市生まれ。5歳でスケートを始める。世界ジュニア選手権は23年から4連覇。シニアと一緒に競う全日本選手権は2位が2度、3位が2度。「麻央」は母が大ファンの浅田真央さんから名付けられた。好きな食べ物はヨーグルト。152センチ。