昨年覇者で今季3勝目を目指す成田美寿々(27=オンワードホールディングス)が、スタートの1番からバーディーを重ね、日本タイ記録の8連続バーディーで優勝圏内に浮上した。

8バーディー、3ボギーの67で回り、通算7アンダー、137で首位と6打差の11位につけた。台風被害の地元千葉に、今大会の賞金全額寄付を公言。「逆転の成田」が被災地に勇気と優勝賞金を届ける。三ケ島かなが13アンダーで首位に立った。

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自己タイの6連続を7番で越えると、8番のバーディーパットは約13メートル。ピン右から、長いパットを執念でねじ込んだ。11年のスタンレー・レディースで諸見里しのぶがつくった日本記録に並ぶ8連続バーディー。台風被害に苦しむ地元に、成田がスーパープレーで勇気を与えた。

「久しぶりに楽しかった。8番でこれは入らないだろうという距離を乗り越えて。9番はここまで来たら何でもいいから入れてやれと狙ったんだけど」。日本新と世界記録のかかった9番ではボギー。それでも5つスコアを伸ばして優勝圏内の7アンダー、11位に浮上した。

昨年も優勝したこの大会前、成田は賞金全額を台風被害に遭った地元に寄付すると公言した。選手会でつくった缶バッジのデザインも担当。「千葉へ届け!」と自筆で書き込んだ。「公言して予選を通過できて良かった。自分の公言したことに対し、たくさんのありがとうのコメントをいただいた。応援してくれた人や千葉のためにも、結果にこだわった」と笑顔で話した。

大会前までは「練習でできたことが試合でできない」と不調だった。それが地元千葉への思いを胸に、迎えた第1日で「練習のショットが試合でできた」と調子も取り戻した。後半こそバーディーはなかったが、何とか優勝も見える位置につけることができた。

昨年のこの大会では4打差を逆転して優勝した。今季2勝も逆転。過去13勝中9勝が逆転と、最終日の逆転劇が成田の勝利の方程式だ。首位の三ケ島とは6打差がついた。成田の過去最大の逆転は5打差からだが「(上位の選手に)成田美寿々がいるとちらつかせられると思うので」。虎視眈々(たんたん)と10度目の逆転優勝をねらう。【桝田朗】