ツアー開幕の見通しが立たない中、女子プロゴルファーはシーズンに向けた調整を続ける。日刊スポーツでは主要クラブメーカーの主な契約プロや、使用予定クラブを、クラブ調整のクラフトマン、プロ担当の目から随時紹介。

「クラブのプロが見たプロ」として、2020年シーズンの目標や注目ポイントを探る。第16回はヤマハ契約の有村智恵(32=日本HP)。

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「思い切り振れる」ドライバーが20年の有村のゴルフを変えるかもしれない。「VS世界」を合言葉にヤマハが開発した新ドライバー、RMX(リミックス)120をオフに試し、有村は手応えを感じている。

もともと小型ヘッドのドライバーで自分の感覚を信じ無理せず打つタイプ。16年に米ツアー撤退後は、18年のサマンサタバサ・レディースで6年ぶりのツアー14勝目を挙げたが、19年は未勝利。黄金世代の台頭とともにパワーゴルフ化が進み、自分が同じ年代だったころと比較しても飛距離に差があると感じていた。

RMX120は、ヘッドを大きくし、飛んで曲がらないことを追求したドライバー。テストを重ねるうちに、体がぐらつくぐらい思い切り振ってもボールは自分が思った方に飛んでいく。若い世代が思い切り振って飛ばす感覚を、有村も実感できた。

有村のクラブ担当は「新しいドライバーは飛距離が稼げる。キャリーで5ヤードぐらい伸びていると思います。彼女は、ドロー、フェード、高低と打ち分けたいタイプ。その辺りのフィーリングを確かめながら調整しています」と話す。

ドライバーの平均飛距離が235ヤード前後の有村は、パワーゴルフ全盛の時代に厳しい戦いを強いられている。その中で、少しでも距離を出し、フェアウエーキープ率を上げて(昨季は63・8844%で62位)、いいライからピンを狙う展開を増やすことが必須だ。「フェアウエーさえ外さなければ、スコアにつなげることができる」とプロ担当がいうショットメーカーの次なる勝利を、ヤマハの新たな武器が支える。【桝田朗】

◆有村智恵(ありむら・ちえ)1987年(昭62)11月22日、熊本市生まれ。10歳でゴルフを始め、九州学院中時代に日本ジュニア選手権、全国中学校選手権で優勝。宮里藍を慕い東北高に進学。07年のプロテストにトップ合格し、同年8月にプロデビュー。09年に年間5勝を挙げるなどプロ通算14勝。13年から米ツアー挑戦も、16年に地元熊本の大地震を受け国内復帰。159センチ、57キロ。血液型はO。

<有村のヤマハゴルフクラブ>

▼1W=RMX120(ロフト角10・5度、シャフト=ツアーADプロト、硬さS、長さ45・5インチ)▼FW=20RMX(7W20度)▼アイアン=inpresプロト(6I~PW)