金田久美子(33=スタンレー電気)が、88年のツアー制施行後としては最長ブランクとなる、11年189日ぶりの優勝を果たした。2位を3打リードして首位から出て、4バーディー、4ボギーの72とイーブンパーで回り、通算9アンダー、207。2週連続優勝を狙った19歳の川崎春花を2位に退け、ツアー通算2勝目を挙げた。

優勝インタビューでは涙が止まらなかった。

「えーと、本当に2勝目ができることを目標にやってきて…。本当にあきらめずここまで頑張ってきて良かったなと思います。考えてなかったのでしゃべるのが苦手で、(いつも支えてくれている)お父さんに感謝です」。

出だしの1番パー5で、4メートルのパットを決めて幸先よくバーディーを奪った。だが直後の2番パー4でボギー。第2打でグリーンをとらえられず、ピンまで約15ヤード、右ラフからのアプローチはピンに2・5メートルも届かなかった。パーパットを外して落とすと、5番パー4は3パットのボギー。スタート時よりもスコアを落とした。それでも9番パー5で、4メートルのパットを決めて2つ目のバーディー。9アンダーに戻し、2位との差も3打差を守って折り返した。

後半も調子は上がりきらなかったが、ギリギリのところで踏ん張り続けた。川崎に1打差に詰め寄られては、14番パー4でバーディーを奪った。2打差に引き離したかと思えば、15番パー3で2メートルのパーパットを外して再び1打差。同じ最終組で回る、14歳下のルーキーとのつばぜり合いが続いたが、耐えに耐えた。すると17番パー4で、勝利を決定づけるバーディー。第2打を70センチにつけて伸ばし、川崎に2打差をつけて逃げ切り態勢を整えた。ツアー制施行後では、中嶋千尋の9年297日を更新する最長ブランク優勝を果たし、喜びを爆発させた。

愛称は「キンクミ」。金髪やへそピアスなどの派手な容姿から、ギャルとゴルファーを合わせた「ギャルファー」と呼ばれた。さらにさかのぼれば、12歳9カ月で国内ツアー予選を通過し「天才少女」と呼ばれた時期もあった。紆余曲折を経て、11年189日ぶり、「ベテラン」と呼ばれる33歳となってつかんだ2勝目だった。

今月、長年キャディーを務めてきた橋本道七三(みちひさ)さんが亡くなった。「前向きなキャディーさんだった。中学生からお世話になったので…」。橋本さんに捧げる、ツアー2勝目でもあった。

【写真特集】ティーショット放ち歩き出す、ギャラリーの拍手の中をティーに向かう渋野日向子