熱いぜ青木功、尾崎将司 真剣勝負にギャラリー魅了

1番、スタートを前に写真撮影を行う青木(中央)と尾崎(右)、左は星野(撮影・清水貴仁)

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 5年ぶりの同組AO対決となった青木功(74=フリー)と尾崎将司(70=セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ)が、不完全燃焼で初日を終えた。自身の持つツアー最年長記録を更新する74歳7カ月27日で出場した青木が、15オーバーの85で105選手中104位。尾崎も13オーバーで103位。2人合計144歳の真剣勝負は、結果こそ伴わなかったものの、随所で勝負師魂は見せた。ツアー初Vを狙う今平周吾(24)が6アンダーで首位に立った。

 「お~い、ジャンボ~。お~い」。18ホールを“完走”した直後のこと。レジェンド2人が、並んで共同取材を受けるはずだった。だが青木が呼んでも、尾崎は姿を見せない。尾崎は着替えもせず、迎えの車に乗り込もうとした。「何も言うことなんてないよ」。今季2度目のツアーで下から3番目の103位。70歳になった今でも結果が出ない現状が悔しかった。

 「若いイキのいい選手に少しでもいいところを見せたかった。それができなかったのは屈辱の限りだ」

 5年ぶりのAO対決。同組のもう1人は、50歳下の新鋭星野だった。伸び盛りの若手に、歴代最多となるツアー通算94勝の実力を見せつけるはずが…。15番パー5で植木にボールが入る不運も重なってトリプルボギーをたたくと、16番でもダブルボギー。歴代2位51勝の青木も最初の1、2番こそパーでしのいだが、3番パー4でトリプルボギーを出すと乱れた。年長記録を更新した74歳も「感覚は覚えているんだけどなぁ。思った以上に、自分の体が動かないんだよ」と首をかしげた。

 それでも4時間56分のプレー中は真剣そのもの。過去10度の直接対決(JGTO発足後)で尾崎8勝、青木2勝としのぎを削った間柄らしく会話もなく熱中した。同組の星野が「あまり話はしていない」と漏らしたほど。時折、尾崎がたばこをくゆらし、15番で青木がどら焼きをたいらげる。そんな時に一言、二言、話す程度だった。

 「年齢でどんどん下手になる。エージシュートもやろうと思ったがダメだった。早合点して引退なんて書いてるヤツ(記者)がいるだろ? 出るには覚悟がいる。やめるにも覚悟がいる」。そう青木が語ると、尾崎も言った。「明日? なんで明日のことが分かるんだよ!」。大勢のギャラリーが見守った2人計144歳の真剣勝負は、どこまでも熱かった。【益子浩一】