アン・シネ注目のセクシー大会、トンプソンが来た!

16番、バーディーを決め笑顔を見せるレキシー・トンプソン(撮影・柴田隆二)

<女子ゴルフ:ワールドレディース・サロンパス杯>◇第3日◇6日◇茨城GC西C(6670ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝2400万円)

 世界ランク5位の前年覇者レキシー・トンプソン(22=米国)が首位と1打差の2位に浮上した。上位陣が伸び悩む中、通算1アンダーの9位から出て5バーディー、1ボギーの68をマーク。通算5アンダーの211で大会史上5人目の連覇を射程圏内に捉えた。前週Vのキム・ハヌル(28=韓国)が6アンダーで首位に立ち、川岸史果(22)は5アンダーで2位につけた。

 何も動じなかった。4番でバーディー先行したトンプソンは、続く5番で2打目をバンカーに入れても冷静にパーセーブ。12番は2打目が池ポチャ。「3番ウッドで打ったが良くない選択だった」と反省しつつ、ドロップ後の4打目でピンまで1・5メートルに寄せてパーセーブ。バーディーは常にピンまで2~2・5メートルに寄せて奪取した。危機も、好機でも常にクールだった。

 68のスコアは第3日のベスト。60台で回った選手はトンプソンを含めて3人しかいない。時折吹き荒れる強風、花粉の飛来という環境で「私は(花粉など)アレルギーはないの。いつものルーティン通り、リラックスしてプレーすることを心掛けました」。大会はここまでルックスを含めて韓国勢が話題を集めた。この日のトンプソンも鮮やかなピンク色でウエアを統一。ただ、180センチの長身からは、これが世界の力と言わんばかりの風格が漂った。

 時差ぼけの影響で深夜の起床が続く中、宿泊先での日課はトレーニングだ。米ツアーではスタート前後に筋トレに励むほどのマニア。自らのSNSでもトレーニング内容を公開するほど。筋トレで肉体のリズムを整え、日本生活のペースをつかんだ様子で「よりポジティブにプレーできた」との手応えを口にした。

 4月の米メジャー、ANAインスピレーションで“悲劇”を味わった。最終ラウンド途中まで首位を独走しながら、4罰打を受けプレーオフ敗退。今大会の前日会見では「良い記憶もあれば悪い記憶もある。すべて乗り越えなくてはいけない」と連覇に照準を合わせた。メジャー大会に昇格した08年以降の連覇は茨城GC西Cで開催された11、12年のアン・ソンジュ(韓国)のみ。昨年東Cを制したトンプソンが西Cでも勝てば「東西」制覇となる。「明日もバーディーをたくさん決めたい」。日本メジャーに歴史と良い思い出を刻むつもりだ。【藤中栄二】

 ◆レキシー・トンプソン 本名はアレクシス・トンプソン。1995年2月10日、米フロリダ州生まれ。5歳からゴルフを始め、07年史上最年少の12歳4カ月で全米女子オープン出場、09年には14歳で同大会予選通過。10年に15歳でプロ転向。16歳だった11年ナビスターLPGAでの米ツアー初優勝はいずれも最年少記録。米ツアー通算7勝うち、メジャー1勝(14年クラフト・ナビスコ選手権=現ANAインスピレーション)。現在の米ツアー賞金ランク4位。180センチ。

 ◆ANAインスピレーションでのトンプソン4罰打 4月2日の最終ラウンドで首位を走っていたトンプソンは13番へと向かう途中に競技委員に呼び止められ、4打の罰を告げられた。前日第3ラウンドの映像を見た視聴者から17番でグリーン上でマークした位置とは違う場所から打ったと指摘され、競技委員が確認。誤所からのプレーとスコア誤記があったと判断され、突然追う立場となった。目に涙を浮かべながら通算14アンダーで柳簫然(韓国)と並ぶまで挽回したが、プレーオフで敗れた。これを受け、同25日には規則変更が発表され、ビデオ映像による違反の適用を制限し、今後は視聴者などからの指摘によって選手に自動的に罰打が科されることはなくなった。