宮里藍引退31歳の衝撃、1人の女性としての幸せも

21日、中京テレビ・ブリヂストンレディスで通算11アンダーでホールアウト

 日本女子ゴルフ界の国民的ヒロインが第一線を退く。宮里藍(31=サントリー)が26日、今季限りでの現役引退を発表した。03年の宮城・東北高3年時にアマチュアでツアー優勝するなど国内通算15勝、米通算9勝を挙げ、10年には日本女子で唯一世界ランク1位にも輝いた。近年の女子ゴルフ人気の礎を築き、後進にも大きな影響を与えた。29日に都内のホテルで会見を行う。

 宮里はマネジメント事務所を通じて現役引退を表明した。前週の中京テレビ・ブリヂストン・レディースでは最終日に国内自身初の6連続バーディーなど64を出して6位。健在ぶりを示した直後、突然の発表だった。29日の会見で決断に至った経緯などを説明する。

 人気、実力とも抜群。残した功績は輝かしい。03年にアマチュアでツアー優勝し、04年には5勝。06年から戦いの場を移した米ツアーでは09年に初優勝し、5勝を挙げた10年に世界ランク1位になった。流ちょうな英語を操り、異国でも試合後にはサインを求めるギャラリーが殺到した。

 宮里を「神」と呼ぶツアー通算7勝の成田美寿々のように、宮里に憧れてゴルフを始め、プロになった選手は数え切れない。昨季日本女子オープンを17歳で制した畑岡奈紗も、小学生の頃に宮里にもらったサイン色紙が宝物。女子ゴルフ界の中核を担う「藍キッズ」の活躍を目の当たりにし、完全燃焼したという思いにつながった可能性はある。

 昨季は3年ぶりにトップ5に入った試合もあったが、優勝争いに絡む機会は激減。悲願のメジャー制覇に届かない段階での引退表明となった。一昨年には「あと、どれくらいプレーできるのかな。ある日突然『ああ、もういいや』って思うかもしれない」と話していた。「結婚もしたいし、子どもも欲しい」と願望を口にしたことがあるように、世界一を目指す戦いに区切りをつけ、今後は1人の女性としての幸せを求めていくことにもなりそうだ。

 今季は6年ぶりに地元沖縄の日本ツアー開幕戦に出場するなど、例年と違う動きを見せていた。5月のワールド・サロンパス・カップ、12年ぶりだった前週「中京-」、出場を予定する6月8日開幕のサントリー・レディース(兵庫)とホステス大会に続けて参戦。拠点を米国に移した06年以降、これほど米ツアーを離れるのは初めてで、支援を続けてくれたスポンサーへのお礼とみる向きもある。

 関係者によると「サントリー-」が日本での最後の試合になる可能性もあるという。米国に戻るのは同じく6月のアーカンソー選手権が濃厚。10代から日本女子ゴルフ界の看板を務め続けた「藍ちゃん」が、大きな決断を下した。

 ◆宮里藍(みやざと・あい)1985年(昭60)6月19日、沖縄県生まれ。東北高3年の03年にアマチュアとして30年ぶりにプロツアー優勝し、その後プロ転向。日米通算24勝。家族は両親と、ともにプロゴルファーの兄聖志(40)と優作(36)。155センチ、52キロ。