イ・ボミ「日本戻ってこないかも」どん底から復活V

優勝カップを手にするイ・ボミ(撮影・鈴木正人)

<女子ゴルフ:CATレディース>◇最終日◇20日◇神奈川・大箱根CC(6704ヤード、パー73)◇賞金総額6000万円(優勝1080万円)

 今日21日に29歳の誕生日を迎える2年連続賞金女王のイ・ボミ(韓国)が、今季初優勝で1日早く自らのバースデーを祝った。首位で出て4バーディー、ノーボギーの69で回って通算12アンダー207で大会連覇。昨年11月の伊藤園レディース以来、280日ぶりのツアー通算21勝目は第1日から首位を守る完全優勝となった。3年連続の賞金女王に向けて復活を印象付けた。

 感極まった表情でイ・ボミは今季初優勝をかみしめた。「この日のことを忘れないと思います。一生、記憶に残ると思います」。表彰式で日本語であいさつした後、日本女子プロ協会の樋口相談役と抱き合った。2週連続でプロアマ戦の時にスイング指導してくれたレジェンドに「賞金の10%を差し上げたい」と感謝した。

 一緒に最終組で回る大山、ペ・ヒギョンらが序盤でバーディーを奪取。イ・ボミは一時的に4位になったものの「私のライバルは昨年のイ・ボミ」と集中した。昨年の優勝スコアが通算9アンダーと思い出し「1アンダー以上でいい」と心身の緊張感を和らげた。6番で第2打をピンまで約2メートルにピタリとつけてバーディー先行。続く7番は約1メートル、8番は約2メートル、9番は約3メートルとアイアンショットがさえわたり、4連続バーディーで独走した。

 不調のどん底だった5月のリゾートトラスト・レディースでは連日、宿舎への帰路で号泣していた。コンビを組む清水キャディーは「もう日本に戻ってこないかも」と心配するほどの落ち込みようだったと明かす。また日本ツアー連戦のため、懸案だった奥歯の治療が7月上旬まで遅れ、6月まで食いしばる力も不安定だった。イ・ボミは「清水さんに『落ちていても、はい上がった時にもっと強くなる』と言われ、頑張ろうと。メンタルが成長しました」と胸を張った。

 賞金ランキングも21位から16位に浮上し「日本女子プロ選手権と日本女子オープンは本当に優勝を目指したい」と宣言した。優勝賞金が高額な国内メジャーで連勝すれば、すぐに5位以内に入る。「一生懸命、準備します」と3年連続の賞金女王をあきらめていない。28歳ラストデーの大会連覇からイ・ボミの反撃が始まる。【藤中栄二】

 ◆イ・ボミの日本ツアーの優勝間隔 3勝目を挙げた12年11月のツアー選手権リコー杯から、4勝目の13年9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯までの294日が最長。昨年11月の伊藤園レディース優勝から、今回のCATレディースまでは280日で2番目に長い。最短は7日で、15年にニトリ・レディース~ゴルフ5レディース、伊藤園レディース~大王製紙エリエール・レディースと、2週連続優勝を2度成し遂げている。