秋吉翔太ツアー初V、1週間で全米&全英切符獲得

優勝し、トロフィーを掲げる秋吉(撮影・林敏行)

<男子ゴルフ:ミズノ・オープン>◇最終日◇27日◇茨城、ザ・ロイヤルGC(8007ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝2000万円)

 秋吉翔太(27=ホームテック)が神懸かり的な1週間を過ごした。5バーディー、3ボギーの70で回り、通算1アンダーの287でツアー初優勝を飾った。21日の国内予選で初メジャーとなる全米オープン出場を決めたばかり。7月全英オープンの切符も獲得し、プロ転向から10年目で一気に階段を駆け上がった。通算イーブンパーで2位だった川村昌弘(24)小林正則(42)マイケル・ヘンドリー(38=ニュージーランド)までが全英出場権を得た。

 熊本出身で身長175センチ、体重85キロ。自ら「くまモン」似と認める秋吉が目を丸くした。「自分が一番ビックリしてますよ」と言った後で「(メジャー2試合出場で)お金がかかりますね」と初々しく笑った。

 ツアー史上最長コースにも「自分のショット力を信じた」。周囲が軒並みスコアを落とす中、3差6位からしぶとく優勝戦線に食らいつく。705ヤードの16番パー5では残り171ヤードから9番アイアンでピン横2・5メートルにつけ、バーディーを奪取。「手前でいいと思ったら風に乗った。1つ間違えれば大きなミス。あれが大きかった」と振り返る。18番は段を上る15メートルの難しいパットを寄せてパーセーブ。ただ1人、4日間トータルでアンダーパーでまとめた。

 飛ばし屋で鳴らした高校時代、オープン参加でドライビングコンテストに呼ばれたほど能力はピカイチだった。課題のパットは昨年7月にプロゴルファーの山本己沙雄の指導で劇的に改善。4月に初優勝を飾った同郷の重永亜斗夢も教わったという山本の助言でストロークを矯正。昨季の初シード獲得につなげた。さらに今季は渡辺研太トレーナーと契約し、ウオームアップから見直した。股関節と肩甲骨に刺激を与えて筋肉を引き締めることで理想的な体の動きに近づけ、武器である飛んで曲がらないショットに磨きをかけた。

 優勝しても「まだ(ファンに)名前も覚えてもらってない。そりゃあ、松山(英樹)に勝ちたいですよ」と豪快に笑う。全米オープン、さらには最終日の7月22日に28歳の誕生日を迎える全英オープン。名前を売るには格好の大舞台が待っている。【亀山泰宏】

 ◆秋吉翔太(あきよし・しょうた)1990年(平2)7月22日、熊本県生まれ。10歳からゴルフを始める。ジュニア時代は同郷の有村智恵と同じ練習場に通い、有村のキャディーをした経験もある。08年国体では松山英樹らをおさえて優勝。08年にプロ宣言した石川遼に刺激を受け、09年にプロ転向。下部チャレンジツアー通算3勝。ボールやマーカー、キャディーバッグには「くまモン」をあしらう。175センチ、85キロ。