池田勇太、緊張するキャディー散歩誘って心ほぐした

優勝杯を手に笑顔の池田(撮影・林敏行)

<男子ゴルフ:ダイヤモンド・カップ>◇23日◇最終日◇埼玉・武蔵CC笹井(7060ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

池田勇太(32=フリー)が、今季初優勝でツアー通算20勝目を挙げた。首位スタートから、4バーディー、1ボギーの68で回り、2位に6打差の通算15アンダー、269で圧勝した。20勝到達はツアー制度施行後11人目で、32歳275日では中嶋常幸、尾崎将司に次ぐ3番目の若さだった。2位には9アンダーでジャスティン・ハーディング(南アフリカ)、3位には8アンダーで岩田寛(37)が入った。

3個目のバーディーを取った前半の6番で、池田は優勝を確信した。出だしの1番はボギー。1打差で追う昨年韓国オープン優勝の張に並ばれた。それでも、冷静に2番でバーディーを取り返すと、張は逆にダブルボギー。そこから崩れていったライバルに、6番で8打差をつけたところで勝負は決まった。

節目の20勝に「日本プロでの初優勝から10年。この10年の中で、20勝。1年に2勝ずつ(の計算)。そうやってここまで来た。まず、自分をほめてあげたい」と池田はしみじみと話した。12年10月のキヤノンオープンでツアー10勝目を挙げたときは、26歳9カ月の史上最年少だった。昨年には31歳269日で生涯獲得賞金10億円突破の最年少記録もつくった。09年の初優勝から10年連続優勝も、歴代4位タイ、5人目の記録と、池田は記録を次々に塗り替えている。

「毎年優勝はプレッシャーもあるが、13~15年と選手会長のときに1勝ずつ積み重ねてこれたのが大きい」。プロとして勝利は目標だが、選手会長を経験してゴルフ界や、世の中への責任も痛感。大会前の16日には、北海道地震の被災地を日帰りで慰問。「行って感じたことを、そのままプレーに出せた」と、優勝で被災地へエールを送った。

プレー中は、プロの試合は初体験というハウスキャディーの藤原美香さん(44)への気遣いも忘れなかった。緊張して4キロもやせたという藤原さんを「ミカちゃん」と呼び、スタート前には「散歩に行こうか」と声をかけ、心をほぐした。

20勝は達成したが、池田のゴールはまだまだ先だ。「やっぱりボクの中で20勝はほんのステップの1つ。まずは永久シードの25勝を目指さないと。早く年内に21勝、22勝、23勝とできるように」と、止まらない男は次の目標を口にした。【桝田朗】

◆池田記録アラカルト 1973年のツアー制度施行後、優勝回数を20の大台に乗せたのは池田が11人目。これまで3番目だった倉本昌弘を24日差で上回った。30代で20勝した過去の6選手は、いずれも25勝以上の永久シード選手となっている。「10年連続勝利」は尾崎将司、青木功、片山晋呉、杉原輝雄に次いで5人目。