桂川有人「みんゴル状態」ゴルフ留学で腕磨いた新星

首位でホールアウトし、笑顔で引き揚げる桂川(撮影・林敏行)

<男子ゴルフ:日本オープン>◇第2日◇12日◇横浜CC(7257ヤード、パー71)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

日本ツアー初出場となるアマチュアの桂川有人(20=日大2年)が1イーグル、6バーディー、2ボギーでこの日ベストスコア65をマークし、通算8アンダーの134で単独首位に浮上した。昨年大会2位で前週アジア・パシフィック・アマチュア選手権を制した金谷拓実(20=東北福祉大2年)とは同学年。高校3年間フィリピンにゴルフ留学して腕を磨いた新星が、1927年の第1回大会、赤星六郎以来91年ぶりアマチュア優勝へ突き進む。

桂川が「“みんゴル(みんなのゴルフ)”状態です」と笑ったように、テレビゲームのようなプレーだった。13番で10メートルのスライスラインを読み切って連続バーディーとし「流れが変わった」。14番は残り247ヤードから4番ユーティリティーでピン右5メートルに2オンしてイーグルを決めた。16、17番は6メートルを立て続けに沈めるなど、怒濤(どとう)の6連続奪取。「バーディーを取るよりボギーを打たないゴルフ」と自らの強みを分析するだけに「信じられないパットも決まって、全部うまくいった。気付いたら首位でした」と素直に言った。

高校は通信制に進み、知人の紹介でフィリピンへ。「米国やオーストラリアでは、かかるお金も違ってくるので」。現地ではかつて尾崎将司のクラブも手掛けていた日本人クラフトマンの家でお世話になり、隣接するマニラサウスウッドGCでゴルフ漬けの日々を送った。昨年は桂川も出場して17位に入ったアジアツアーの試合も行われる同コース。日本でも活躍するパグンサンやアンジェロ・キューと一緒に練習し、フィリピンの“英雄”フランキー・ミノザとも食事をした。「学ぶことばかりで最高の環境。楽しかった」。ウエッジ4本というショートゲーム重視のセッティングも、現地のタフなコースでもまれてきたからこそだ。

日本最高峰の大会で、昨年は同い年の金谷が優勝争いを繰り広げた。最近も大学のリーグ戦のマッチプレーで敗れたばかりで「目標とする選手の1人」と言う。金谷がアジア・パシフィック選手権で優勝し、マスターズと全英切符をつかんだ時は、思わず「マジか!」と叫んだ。だが、金谷からも「(桂川は)何をやってもうまい。彼は日大で自分は福祉大なのでバチバチですよ」と意識され、お互いに刺激を与え合う関係だ。

男子ゴルフ界に現れた新星は「まだ実感は湧かないですが、優勝目指してやっていきたい」と意気込んだ。女子で「黄金世代」と呼ばれる年代には、男子にも楽しみな存在がいる。【亀山泰宏】

<桂川有人(かつらがわ・ゆうと)アラカルト>

◆生まれ 1998年(平10)10月9日、愛知・清須市生まれ。

◆ゴルフ シングルハンディの祖父征男さんの影響で3歳から始め「気付いたらやっていました」。得意クラブであるドライバーの飛距離は290ヤード。アイアンショットを駆使した堅実なマネジメントが身上。

◆タイトル 17年朝日杯、文部科学大臣杯優勝。8月の日本学生では第2ラウンドで自己ベスト「60」をマークして逆転初V。

◆プロツアー フィリピンツアーやアジアのレギュラー、同下部ツアーを経験。国内では先月トップ杯東海クラシックのマンデー予選に初挑戦も2打及ばず。日本オープンの予選会出場も今年が初めてだった。

◆目標 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平で「人柄に憧れています」。ゴルファーではタイガー・ウッズ(米国)。

◆サイズ 167センチ、64キロ。

◆家族 母、祖父。