丸山茂樹、ウッズ復活Vは「選手に夢と勇気与えた」

丸山茂樹

米ツアー3勝の丸山茂樹(49)はマスターズでのタイガー・ウッズ(43=米国)の復活優勝を「全世界のスポーツ選手に夢と勇気を与えた」と表現した。

丸山は00~08年に米ツアー本格参戦、絶頂期のウッズと何度も戦ってきた。超攻撃的ゴルフとも呼ばれたウッズだが、丸山は以前から「攻撃と守りのバランス。そこに向けて自分をコントロールする勇気」が最大の武器とみていたという。いわゆる攻守のメリハリだ。「特に今回は際立っていた」。最後の18番は第1打をミスした段階で、確実にボギー以内で収めるマネジメント。パー5と好相性の16番パー3などはしっかり攻めた。結果的にはボギーとしたが、難ホールの5番では「あがいても仕方ない」とばかりに、大けがをしないクラブ選択をしていたのが印象的だ。

丸山は「(ウッズは)自分に向き合うことの天才」とも言う。現時点の自分の力に見合ったプレーをする大人のゴルフだ。かつてはロングパットを決めて雄たけびを上げたり、ミスには怒りを隠さないなど、感情あらわだった。それがこの日は「ボギーでも帽子のつばに手を当て、あいさつしていた。以前は考えられないこと」「表情も変えずに、終始落ち着いていた」と丸山は感じたという。年齢を重ね、苦労を乗り越え、レジェンドの風格を漂わせる「ニュー・タイガーの誕生」と言い切った。

首位から出たF・モリナリが12番パー3で第1打をクリークに入れて失速した場面については「タイガー・マジックにやられちゃったね」。第3日終了時点でウッズは「すべて自分のプラン通り」と話しており、「自信があるんだ」と丸山は読み取った。ウッズが昨年全英オープンでモリナリと優勝争いをし、敗れていただけに「必ずモリナリに対する作戦を練ってきたはず」と指摘した。

同時に故障や私生活のトラブルを克服しての復活は、本人の精神力はもちろん「失敗した人にもセカンドチャンスを与えるという、米国の国民性も後押しになったはず」と話す。それが18番グリーンであらゆる方向に手を振り、ファンに感謝する姿につながったのかも知れない。

ウッズにとって、5月全米プロ選手権の舞台はベスページ・ステートパークは02年に、6月全米オープンのペブルビーチは00年にいずれも全米オープンで制したコースだ。メジャー連勝への夢が膨らむ。丸山は「必ず何かやってくれるはず」と、再び伝説の続きを紡ぎ始めたウッズに期待を寄せていた。