原英莉花、師匠尾崎将司の叱咤受けたどり着いた1勝

プレーオフ2ホール目、バーディーを取って初優勝を決めた原英莉花は、感極まった表情で拳を天に突き上げる(撮影・浅見桂子)

<女子ゴルフ:リゾートトラスト・レディース>◇最終日◇2日◇静岡・グランディ浜名湖(6560ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

尾崎将司の愛弟子、原英莉花(20=日本通運)がプレーオフの末、ペ・ソンウ(韓国)を破り、ツアー初勝利を挙げた。

3位から出て7バーディー、1ボギーの66で14アンダー、202と首位に浮上。終盤に並んだペを、プレーオフ2ホール目で振り切った。98年度生まれの黄金世代から7人目の優勝で、女子ゴルフ界に新たなスターが誕生した。河本結とアマチュアの古江彩佳が12アンダーで3位に入った。

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プレーオフ2ホール目の15番パー3。ウイニングショットのバーディーパットを沈めると、原英は右腕を高々と突き上げた。表彰式の18番に引き揚げる道でギャラリーの祝福と大歓声に包まれ、涙があふれ出した。

「ほっとしたというか、すごくうれしいというか、いろんな感じです」。3位から出て、一時は4人が首位に並ぶ激戦を制した。前半3連続バーディーで首位に立っても後半開始の10番でボギー。優勝争いから脱落したかに見えたが、14番から4連続バーディーで首位に再浮上。最後はペをプレーオフで振り切る劇的な勝利だった。

15年、高校1年で尾崎将に弟子入り。アマ時代の実績は乏しいが、「ジャンボの愛弟子」「美貌の飛ばし屋」と昨年から注目されていた。しかし、優勝争いには絡むが、なかなか結果はついてこない。師匠の尾崎将からは、強気の原英の心をくじくような言葉で叱咤(しった)された。

「自分が分かっていないと、何度も怒られました」。昨年シードを決めベンツを買おうとすると「賞金王にならないとベンツはないだろう」とたしなめられた。今年の目標を賞金女王に掲げれば「大きな目標じゃなく、目先の目標を決めろ」と言われた。「でも、それで、まず1勝と思って取り組めました」と、ジャンボから贈られたパターを手に優勝を勝ち取った。

黄金世代のエリートたちとスタートは違うが目指すところは同じだ。ツアー優勝の次は賞金女王、20年東京五輪、米ツアー進出。いずれも頭の中にあるが「まだ経験不足が多いので、自分には自分のやるべきことがある」と話す。

優勝会見の席で、尾崎将からの祝福の言葉が披露された。「誰でもラッキーで勝つことはある。大事なのは2つ目の勝利をとらえにいかなくてはならない! それが大事!」。神妙に聞いていた原英は「スキップして、1勝しましたと報告に行きます」と爆笑を誘った。【桝田朗】

◆原英莉花(はら・えりか)1999年(平11)2月15日、神奈川県横浜市生まれ。10歳でゴルフを始め、湘南学院高では全国大会の9位が最高。18年に下部ツアーで2勝。同年7月のプロテストに合格。18年ツアーではニトリ・レディースの3位が最高で、LPGA年間表彰では敢闘賞を受賞した。173センチ、58キロ。