稲見萌寧が初V王手「1打に執着しない」先輩姿宝物

ホールアウト後、小橋(左)と抱き合う稲見(撮影・柴田隆二)

<女子ゴルフツアー:センチュリー21レディース>◇第2日◇27日◇埼玉・石坂GC(6370ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

2位から出た稲見萌寧(19=都築電気)が、初優勝に王手をかけた。5バーディー、2ボギーの69で回り、通算7アンダー、137で単独首位。先輩の吉田弓美子(32)に教えられた「1打に執着しない」ゴルフで、昨年プロテストに合格した節目の日に成長した姿をみせた。11年以来、2勝目を目指す金田久美子(フリー)は、71で通算4アンダーの3位につけた。

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出だしの1番でボギーをたたいても稲見の心は揺れなかった。「風が吹いたりして運もなかったので気にしなかった」とさらりと受け止めると3、4番で連続バーディーを決め、すぐに取り返した。その後も1つボギーをたたいたものの3バーディーを奪取。昨年の最終日、最終ホールで3メートルのバーディーパットを沈めプロテストに合格した記念すべき日に、首位に躍り出た。「プロテストの1打はめっちゃしびれた。あれをクリアしたら何でも大丈夫。(明日が)待ち遠しいです」と頼もしかった。

プロ経験豊かな“先輩”の生き様が階段を上らせた。3月下旬のアクサレディース2日目。同組の吉田が予選通過がかかる5メートルのバーディーパットを時間をかけずにあっさりと打ち抜き、決めてみせた。打つ前に悩み過ぎる自分とはまったく逆の姿。真意を吉田に聞くと「1打に執着していない」と言われ、その言葉が宝物になった。以来リズムを意識し、イライラした時に食べていたチョコも食べる必要がなくなった。「心に余裕を持てるようになった」と感謝する。

今月29日に20歳の誕生日を迎える。10代最後の大会で初優勝が手に届くところにある。「いい日になるように自分で頑張って勝ち取ります」と力強く宣言した。【松末守司】