渋野日向子が五輪金宣言 08年輝いたソフトが影響

英国から凱旋(がいせん)帰国した渋野はトロフィーを手に笑顔でピース(撮影・足立雅史)

メジャーの次は金メダルだ! ゴルフのAIG全英女子オープンを制した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が6日、羽田着の便で帰国。

次なる目標を、20年東京オリンピック(五輪)の金メダル獲得に定めた。5日発表された世界ランキングでは10位の畑岡奈紗に次ぐ日本勢2番手の14位に急浮上。五輪出場へ大きく前進した。08年北京五輪で金メダルを取った女子ソフトボールを見て芽生えた五輪への夢が、現実のものとなってきた。

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メジャー優勝で、来年開催される東京五輪出場が、はっきり見えてきた。5日に発表された世界ランキングで、14位に急上昇。「かなりジャンプアップした。五輪に出るためには、そのくらいの順位が必要。五輪につながっているので良かった」と、帰国後の会見で笑顔で話した。そして、五輪に出場できたらという質問に「みなさんに楽しんでもらえるプレーをしたい。金メダルはやっぱり、自国開催なので取りたい」と金メダル宣言が飛び出した。

五輪に出場するには、18年7月1日から20年6月29日までの期間でポイントを算出し、各国世界ランク15位以内なら4人まで。16位以下なら2人と定められている。今回の渋野の14位は、国内ツアーが主戦場のライバルには多くの勝利が必要になり、大きなアドバンテージとなる。日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長は「あと1年もない状況で、渋野さんの今回の14位は大きい」と話した。

渋野が五輪を意識したのは、08年北京五輪の日本女子ソフトボールの活躍。今でも「動画で見て勇気をもらう」というが、金メダルを取った日本チームを見て「五輪は優勝すると、日本中を元気にできる。自分も元気にしたい」と思うようになった。

実質プロ1年目だが、メジャー初挑戦初勝利で実力を証明した。外国人並みに飛ばしながら曲がらないドライバーショット。思い切りのいいパッティング。ボギーを打っても、すぐにバーディーを取り返す心の強さ。今季の国内2勝とメジャー1勝は、いずれも強い外国人選手に競り勝ってつかんだ。

五輪会場となる霞ケ関CCは高校2年だった15年8月に日本ジュニア15-17歳でプレー(7オーバーの40位)。その時は五輪会場とは別の西コースだったが「森と林ばかりの印象」と語った。今回同じような環境の全英で優勝したことも、有利な経験となりそうだ。

五輪がぐっと近づいてきて、渋野の意識も少しずつ変わってきた。全英優勝直後には「海外はいや、日本でプレーする」と宣言したが、残り1年で世界ランキングを上げるために「今年の優勝で来年のメジャー出場権も得られた。まだ出るかは考え中だが、五輪出場につながるなら、出た方がいいのかも」と話した。

渋野は7日に次戦の北海道meijiカップ出場のため北海道入りする。休む間もなく、戦いは続く。【桝田朗】

◆東京五輪出場資格 20年6月30日時点での世界ランク(ロレックスランキング)をもとに、決定する。同ランク15位までの選手で複数選手が入った場合は、各国最大4人まで。16位以下は各国2人(15位以内の有資格者含む)となる。大陸ごとに出場選手が不在の場合は、最低1枠は保障される。男女とも埼玉・霞ケ関CCで開催され、出場人数は各60人。男子は20年7月30~8月2日。女子は同8月5~8日に行われる。