「子どもたちのため」渋野日向子が持つ高いプロ意識

帰国会見で笑顔を見せる渋野(撮影・垰建太)

<渋野日向子メジャー制覇!スマイル旋風(2)>

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渋野は、ホール間の移動のとき、子どもがいると必ず立ち止まる。ハイタッチをしたり、頭をなでたり、笑顔で声を掛ける。AIG全英女子オープンで印象的だったのは、プレー中に目があった子どもを、移動中に見つけ、グローブをプレゼントしたことだった。

子どもを大切にするのは、プロ意識の表れだ。「ジュニアの子どもたちのいい手本になるためにプレーをしています」と渋野はいう。ツアーを観戦にきた子どもたちを大切にするのも「私みたいになりたいと言ってくれる子どもたちが増えてきて、その子たちのために」という意識が強くなった。

父親の悟さん(51)は「彼女は子どもが好き。自分もソフトボールやゴルフでジュニアの環境で育ったから、子どもは大事にしないといけないと分かっている。私たちも、プロになるころからそれを言ってきました」と話した。

渋野がプロテストを受けた18年7月は、地元岡山が豪雨に見舞われ大きな被害が出た。プロテストを受けるか迷った渋野は災害に遭った知人から「プロゴルファーになって地元の人を元気づけて」と背中を押され、プロになった。「今まで以上に強い思いを持ってプロテストを受けた。地元を元気づけるためには、結果を出していかないと」と、プロ1年目から結果を出してきた。

トレードマークの笑顔も、子どもたちへのメッセージが詰まっている。「ゴルフはやっぱり自分の意思で頑張らないと、楽しまないといけない。私の笑顔で楽しむことも大事と感じてくれれば」。実質プロ1年目の20歳だが、高い意識を持って渋野はプレーしている。だから、強い。【桝田朗】