渋野「しぶ語」さく裂 初軽井沢に「景色キヨキヨ」

練習を終え、コースを背景に笑顔でインタビューを受ける渋野(撮影・加藤諒)

AIG全英女子オープンを制した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、初の賞金女王へ前進する。国内女子ツアー、NEC軽井沢72トーナメント(16日開幕、長野・軽井沢72ゴルフ北C)に向け、13日は試合会場で調整。避暑地で有名な軽井沢を訪れるのは初めてとあって“渋野語”で「キヨキヨしい」を連発した。賞金ランクは首位申ジエ(韓国)に続く2位。国内今季3勝目を挙げれば、ジワリと女王の座に近づく。

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どこかで聞いたことがあるような-。そう、まるであの人のようだった。渋野にとって、国内で有名な避暑地・軽井沢を訪れるのは初めて。爽やかな白いシャツ姿。朝からみっちり練習をこなすと、新鮮な空気を胸一杯に吸い込みながら、笑顔でこうつぶやいた。

「景色がキヨキヨしていますね。キヨい。そう、清々(すがすが)しい。これから、どこか行こうかな。滝とか、キヨキヨできそうなところ。打たれるのではなく(滝を)見る。(午後から)遊んで、1日キヨキヨしてもいいですよね」

サッカー元日本代表のFW本田圭佑(33)が、自身最後のワールドカップ(W杯)と公言した昨年のロシア大会を振り返って「キヨキヨしい」と発言し、話題になった。本田は完全な誤読で、後になって「お恥ずかしい。漢字が苦手で。でも、もうしっかり覚えました」とツイッターで弁明。だが渋野は理解した上での“渋野節”だった。

全英から帰国後、休む間もなく出場した前週の北海道meijiカップは13位。前日12日は移動で、まだ1日も完全オフはない。「キヨキヨしたい」は、疲労と戦う20歳の本音だろう。

有言実行を貫いた本田とは対照的に、渋野は不言実行のタイプ。本田が目指した世界一をあっさり手にしたかと思えば、今週の目標は「楽しく回れたらいいです」。全英優勝トロフィーの置き場所を聞かれると、答えに皆が目を丸くした。

「どこにあるんだろう? お母さん、家にあるの? 1週間くらい見てないんだけど。あんまり、興味ないかも(笑い)」

さらに賞金女王への思いを問われるとこう返した。

「女王になりたいとは思っていない。まずは1億円突破。現在(賞金ランク)2位なので、狙えるっちゃあ、狙えるとは思うんですけど。申ジエさんとはかなり離れているんで。普通にやれば結果はついてくる」

賞金ランクトップの申ジエとは約1500万円差。今大会の優勝賞金は1440万円で、勝てばジワリと近づく。笑顔のシンデレラのモットーは、楽しく、伸び伸び。その先に、女王の座がある。【益子浩一】