渋野の強さは体幹強さとリズム感/諸見里しのぶ分析

15番、渋野のティーショットに視線を向ける諸見里しのぶ(撮影・前岡正明)

「美しいフォーム」で知られ、女子ゴルフで国内メジャー3勝を挙げた諸見里しのぶ(33=ダイキン工業)が、3日開幕の日本女子オープン(三重・白山ビレッジGCクイーンC)で日刊スポーツの特別コメンテーターとして登場します。

2日は優勝候補の一角、渋野日向子(20=RSK山陽放送)の練習ラウンドを視察。現役選手の目線で渋野の強さの秘密に迫るとともに、07年の大会で優勝した経験を元に注目の今大会を占った。

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渋野さんを現場で見るのは初めてなんですが、すごくパワフルな印象を受けました。体幹が強くて、力を抜くところと入れるところのリズム感がいい。1番うらやましく思ったのは、テークバックの(クラブの)上げ方。リズムがあって、バランスが良くて力強いんです。そして、構えたら何の迷いもなく打つ。彼女のプレーが早いのも、リズム感なのかなと思います。

私がリズムを強調するのは、ゴルファーが調子が悪くなってくると、一番狂いやすいのがリズムだからです。そうなると、プレーが早すぎたり、遅すぎたりして、自分の一番いいリズムがなくなってきやすい。でも渋野さんのプレーを見ていると、ティーショットでもパットでも、構えたらすぐ打つ。そのリズムが最後まで変わらないことが、彼女の強さの秘密だと思います。

そのリズムを支えるのが、体幹であり、体の強さです。ソフトボールをやっていたからか、彼女にはアスリートとしての基盤となる体の強さがあります。それは、今回のメジャーのような4日間の大会で最後に生きてきます。練習ラウンドを回って感じたことですが、今大会のコースは距離は6479ヤードとそれほど長くないけれど、フェアウエーに傾斜があって、アップダウンのあるコースです。渋野さんや、畑岡さんのように体が強い選手が有利かなと思います。

日本女子オープンは、私も07年に優勝しましたが、ジュニア時代からどうしても欲しいタイトルでした。小学校からあこがれだった不動さんと一緒に優勝争いしての優勝は、私にとって大きな自信になりました。いまだにチャンピオンズディナーに招待され、金のバッジをいただいて、歴代優勝者の駐車スペースまであるんです。今になってあらためて優勝して良かったと思える大会です。

優勝争いは、渋野さんに畑岡さん、韓国の柳簫然(ユ・ソヨン)、経験値の高いベテラン、そして、16年に当時アマチュアの畑岡さんが優勝したように、今伸び盛りのアマチュア選手にもチャンスがあると思います。10年ほど前と違って、今は攻めないと勝てない時代です。渋野さんも畑岡さんもアグレッシブに攻めて伸ばすタイプ。攻めるゴルフの戦いが見られると思います。

◆諸見里しのぶ(もろみざと・しのぶ)1986年(昭61)7月16日、沖縄県名護市生まれ。9歳でゴルフを始め、おかやま山陽高時代の05年6月に日本女子アマ選手権で優勝し、7月のプロテストに合格。プロデビュー戦の日本女子オープンで5位。06年には米ツアー参戦を表明。同年10月のSANKYOレディースで国内ツアー初勝利。07年の日本女子オープンを制し、09年にはワールド・サロンパス・カップ、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を制し、史上最年少で国内メジャー3冠を達成した。国内ツアー通算9勝。160センチ、58キロ。