大里桃子「私にお祝いを」渋野に続くメジャー制覇だ

15番、ティーショットを放つ大里(撮影・上田博志)

<女子ゴルフ:日本女子オープンゴルフ選手権>◇第3日◇5日◇三重・白山ビレッジGC(6479ヤード、パー72)◇賞金1億5000万円(優勝3000万円)

ツアー1勝の大里桃子(21=伊藤園)が、国内メジャー初優勝に王手をかけた。2位から出て4バーディー、ボギーなしの68で回り通算15アンダー。2年ぶり優勝を狙う同じ黄金世代の畑岡奈紗(20)と並ぶ首位に浮上し、6日の最終日は2人が最終組で回る一騎打ちになった。全英女王で6位渋野日向子(20)とは互いに「大親友でライバル」と呼び合う仲。渋野に続くメジャー制覇へ近づいた。

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1万4131人の大観衆が集まった国内最高峰の戦いでも、大里の心にブレはなかった。緊張感は見せず、ピンチでも動じない。頭の中で流れていたのは、韓国の人気グループiKON(アイコン)の「PERFECT」だった。4番パー4で、「90度くらい曲がる」という難しいラインの10メートルのバーディーパットを沈める。最終18番パー5では果敢に2オン。6メートルのイーグルパットは外れたが、バーディーで首位を捉えた。

「ずっと鼻歌が流れていました。リズムが好きで落ち着くから。予選を通過したことのない大会だったので、ここまでいい成績になるとは思っていなかった」

昨年8月のCATレディースでツアー初優勝を挙げた今を時めく黄金世代の1人。最近は「しぶこ(渋野)の友達」と呼ばれることが多くなり、複雑な心境を抱いていた。大里も渋野もアマチュア時代から互いを「大親友でライバル」と呼び合う。そこにプライドがにじみ出ている。プロ初優勝は大里が先だが、8月に全英女王になった渋野に一気に先を越された。「次は私がお祝いをしてもらいたい」。誰よりも仲が良く、誰よりも負けたくない2人のライバル物語は、今も続いている。

最終日は首位で並ぶ畑岡と2人だけの最終組で、直接対決になる。「最後に一緒に回ったのは高校1年の全国大会。その後に(畑岡が)この大会を2連覇して世界で活躍するようになった。私の中では格上。でも明日は私も付いていきたい」。渋野に刺激を受け、畑岡に競り勝って女王になれば、まさに「PERFECT」だろう。【益子浩一】

◆大里桃子(おおさと・ももこ)1998年(平10)8月10日、熊本県生まれ。幼少時代は水泳、バスケットボール、陸上を習い8歳からゴルフを始める。熊本国府高卒業後の18年に、渋野と同じく2度目の挑戦でプロテスト合格。昨年のCATレディースのプロ初優勝でシード権を獲得した。18年のLPGA敢闘賞を受賞。170センチ、60キロ。