ウッズらスター選手“ガチ勝負”初大会の魅力&見所

前夜祭に出席したウッズ(2019年10月22日撮影)

男子ゴルフ初の日米ツアー共催となる「ZOZOチャンピオンシップ」は24日に千葉・アコーディア習志野CC(7041ヤード、パー70)で開幕! 米ツアー(PGAツアー)が初めて日本で開催される。

この世界最高峰ツアーの魅力と今大会の見どころについて、昨季まで松山英樹(27)のエースキャディーとして帯同し、現在はテレビ中継の解説などでも活躍する進藤大典氏(39)に語ってもらった。

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世界のトップ選手が集まるPGAツアー、それが日本で開催されるなんて、少し前までは想像もできないことでした。魅力は当然レベルの高さ。初めてティーグラウンド横で見れば、迫力あるスイング音に驚くでしょうし、球の速さ、高さに軌道を見失ってしまうかもしれません。

彼らの力を引き出すのはコースです。今回のコースも視察プレーをさせてもらいましたが、素晴らしい設定です。いわゆる「14本すべてのクラブを駆使させる」コース。飛ばし屋有利でもグリーン勝負でもない。全選手に勝機があります。池やバンカーの配置、ドッグレッグなど戦略性が求められるレイアウトです。

注目ホールとしては、16番パー3はオーガスタの名物ホール16番を思い出させます。ピン位置によってホールインワンもあれば、池絡みのドラマも生まれるでしょう。短い2番パー4では1オン狙いもあるはず。勝負としては、11番、12番のタフなホールをうまく乗り越えることがポイントとみています。

第1打の番手選びにも個性、戦略が出る。日本なら「飛ばすか刻むか」2択のイメージですが、PGAツアーでは刻む位置にもこだわり、ドライバー、フェアウエーウッド、アイアンと多彩。バッグを担いでいた時、僕もこの判断が最も難しかったです。見る者の固定概念を覆すようなプレーが期待できます。

英樹プロは昨季勝ち星こそなかったけど、成績は安定していた。ツアー最終戦に6年連続出場したし、何より飛距離が出ているのが心強い。ちょっとしたきっかけさえあれば、勝つ可能性は十分。そのきっかけが「地の利」、日本の皆さんの応援かもしれません。

もちろんウッズも注目の的。故障やアプローチイップスなど、さまざまな苦難を乗り越えて復活した精神力の源は何なのか? 彼のプレーを見ると、いろいろ考えてしまいます。家族への思いもあるでしょうし、根っからの負けず嫌いなんだと思います。同時にウッズが全盛期だった頃の飛距離や技術、それと同レベルのものを持った選手がたくさんいるのが、今のPGAツアーです。

例えばマキロイのアイアンのスイングはピカイチ。高さやスピンのかけ方、曲げて寄せる技術は際立ちます。スピースはコースマネジメントがうまく、ショートゲームは創造性豊か。「そんな手があったか…」という独創的なアプローチを見せます。日本でも人気のスコットのスイングの再現性は精密機械のよう。さらに彼は人間性もステキです。普段から気軽に声を掛けてくれ、英樹プロが優勝すると、僕にもお祝いメールをくれます。

スコットに限らず、PGAツアーのメンバーは人間的にも素晴らしい選手ばかりです。それは立場がそうさせる一面もあるでしょう。一方で、努力や忍耐、自分を律することができる人でないと、この最高峰の舞台まで到達できないのだとも思いますね。

選手の表情、しぐさを見るのも面白いです。外国人は喜怒哀楽が表に出て、ミスにイライラ、激怒したりもします。そこからの切り替えがすごい。次のショットでは何もなかったように冷静だったりします。

競技面以外のホスピタリティー、例えば選手に移動用の車が試合ごとに貸与されたり、家族や子供のための施設があったり、年金制度が充実していたり…豊かでスケールが大きいです。PGAツアーでは、選手だけでなくキャディーやコーチ、運営スタッフ、ボランティアなど、すべての人がプロ意識や誇りを持ってかかわり、互いに尊重していると感じます。

J・デーが日本でプレーするのは初めてでしょう。ウッズやマキロイ、スピース…日本ツアーの1試合で1人呼ぶことさえ、大変なことです。そんなスター選手がまとめてやってくる。しかも、興行ではなく「ガチ勝負」。PGAツアーの文化が日本に伝わる機会になる。もちろん日本ツアーから出る選手が勝てば、PGAツアーメンバーになれます。まさに「ドリームトーナメント」。ZOZOさんをはじめ、この大会の開催に尽力していただいた方々に感謝したいです。(進藤大典)