今平周吾3つの誓い 五輪メダル獲り、米本格進出…

五輪に向けて抱負を語る今平(撮影・酒井清司)

<東京五輪がやってくる>

男子ゴルフで2年連続賞金王の今平周吾(27=フリー)が“ご当地”開催の東京オリンピック(五輪)でメダル取りに挑む。今や松山英樹(27=LEXUS)に次ぐ日本のエースに成長。埼玉・入間市出身で、男子会場となる霞ケ関CC(埼玉・川越市)はジュニア時代から慣れ親しんだゴルフ場だ。地の利を生かして挑む五輪の先には、3年連続賞金王、そして米ツアー本格進出も視野に入れている。

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20年の目標を今平は「3年連続賞金王と、五輪出場、それに海外で結果を残すこと」と3つ挙げた。その中で一番近いのが東京五輪だ。17日発表の世界ランキングでは、21位の松山に次いで36位と日本人2位につけている。地の利もある。出身地の入間市は、五輪会場となる川越市の霞ケ関CCとは車で15分の距離。ジュニア時代は何度も大会でラウンドし、五輪用に改修された後にも回ったことがある。

今平 グリーンに起伏がついて、距離も延びた。ちょっと海外チックになっていますね。林にセパレートされた平たんな感じで、地元の応援もあり、日本人には有利だと思います。

少年時代は、水泳の北島康介や体操の内村航平の金メダルに胸を躍らせた。

今平 五輪は小さいころからいろんな種目を見てきた。日本中が注目するし出たい。出るからにはメダルを取りたいですね。

五輪に出れば、世界のトッププレーヤーと競い合える。将来、米ツアー本格進出を目指す今平にとっては、世界への試金石にもなる。国内で賞金王を取った昨年だが、米ツアーではメジャー4大会すべてで予選落ちという屈辱を味わった。豪快に飛ばす海外の選手のパワーに圧倒され、自分のゴルフを見失った。

今平 周りの選手の飛距離に惑わされた。スイングのスピードが全然違うと感じ、自分もいつもより速くなった。みんなが振ってくるので、追いつかないといけないと、いつも以上に振ってしまっていた。

迷いはスイングに表れた。昨年だけで3回も変えた。マスターズ直後から、トップから沈み込んで反動を利用して飛ばすスイングに取り組んだりもした。しかし、10月ごろからは右の股関節に重心を置き、インパクトまでその位置で迎えるスイングでようやく安定感が出るようになった。

今平 去年いろいろやってみて、平均飛距離は5ヤード伸びたが、頑張っても5ヤード。それより、今のスタイルを変えず、ショートゲームに磨きをかけた方が、もっと近道かなと思えるようになった。

スイングがより安定するようにオフは下半身の強化に取り組んだ。特に、自宅近くの埼玉県入間市にある山の500段の階段を1回10往復。さらに12回3セットのスクワットを週2回。

今平 去年はあまり下半身が強くなかったので、思い切り振った時でも体がぶれないような体づくりを目指した。

今平は、高校を1年で中退し、17歳の時に米国のIMGアカデミーへ入った。そこで2年間修業を積んだ。昨年、米メジャーでその時に戦った同世代の選手たちの成長に圧倒されたという。

今平 ジャスティン・トーマスやジョーダン・スピースがアマチュアで、試合でも差は感じなかった。自分も通用していた。でも、プロになると、成長の仕方が違った。元々細かったのが、軸がしっかりしていた。やはり、レベルの高いツアーではい上がった経験で技術も上がっていた。

子どものころからのあこがれだった米ツアーへの思いは、4大メジャーにはね返されて、さらに強くなった。渋野日向子(21=サントリー)のAIG全英女子オープン優勝で、日本のゴルフ界が一気に盛り上がったことで、今平も思いを強くした。

今平 国内で頑張っていても、男子はなかなか人気が出ない。海外で活躍する選手がどんどん出て日本に帰ってくると人気が出ると思う。僕もどんどん海外にも挑戦していきたい。メジャー4試合で結果を残すことが世界ランクを上げることにつながる。海外に出る試合を増やすことも考えています。

4月の国内開幕戦、東建ホームメイト杯までは、その前週のマスターズまで海外を転戦する。メジャーで結果を残し、五輪出場、そしてメダルへの挑戦。国内では3年連続賞金王の偉業へも挑む。その先は、夢の米ツアー挑戦。大きな目標に挑む今平は「去年より強い自分を見ていただきたい」と決意を語った。【取材・構成=桝田朗】

◆今平周吾(いまひら・しゅうご)1992年(平4)10月2日生まれ、埼玉県出身。9歳でゴルフを始め、埼玉栄高1年の08年に日本ジュニア選手権優勝。09年に高校を中退し、米IMGアカデミーに留学。同年全米ジュニアゴルフ選手権でベスト8。11年に帰国し19歳でプロ転向。18年にわずか1勝ながら賞金王を獲得。さらに19年には2勝で連続賞金王。尾崎将司、青木功、中嶋常幸、片山晋呉に続く快挙を達成した。プロ通算4勝。165センチ。

◆五輪出場資格 東京五輪は男子が7月30日~8月2日、女子が8月5日~同8日、埼玉の霞ケ関CCで開催される。それぞれ60人が出場でき、男子は6月22日、女子は6月29日時点で国際ゴルフ連盟が定めた五輪ランキング(世界ランキングをもとに算出)上位15人が自動的に出場権を得る。15人の中では各国最大4人が出場できる。15位以内に1人しか入っていない国は、16位以下の上位1人が出場できる。15位以内に入っていない国は、16位以下の最大2人までが出場可能。その他、5大陸ごとに各1人の出場枠。